事例解説 租税弁護士が教える事業承継の法務と税務 相続・生前贈与・M&A・信託・社団・財団・国際

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その事業承継【法務面】/【税務面】に偏っていませんか?
● 法務と税務双方に精通した租税弁護士(タックス・ロイヤー)が、「法務と税務」混ぜ合わせの留意点を解説。
● 基礎的・典型的な「親族内継承」「親族外継承」をはじめ、応用的な「社団法人・財団法人の活用」「信託の活用」「国際承継」等について、具体的事例を取り上げ、法務・税務双方の観点から解説。
目次
第1章 総 論
第1 はじめに
第2 承継の方法と法務・税務上の留意点
1 生前贈与による事業承継
2 遺贈による事業承継
3 死因贈与による事業承継
4 売買による事業承継
第3 株式の評価方法
1 株式評価の重要性
2 株式評価の方法
3 財産評価基本通達による株式評価方法
4 M&A など株式譲渡の場合の株式評価方法
5 法務上の留意点
第2章 各 論
第1 親族内承継
設例1 事業承継税制
私は,製造業を営んでいますが,そろそろ,後継者である長男に会社の株式を全て譲りたいと考えています。この際,顧問税理士から,事業承継税制を活用すると,相続税や贈与税が安くなると聞きました。事業承継税制とは,具体的にどのような制度なのでしょうか? また,当社のような小規模な会社でも,事業承継税制を利用した方がよいのでしょうか?
1 事業承継税制の概略
2 事業承継税制のメリット・デメリット
3 納税猶予の要件の概要
4 納税猶予後の納税免除の主な事由
設例2 事業承継と遺留分に関する民法の特例
Aは,甲株式会社の代表取締役で,同社の株式を100%保有しています。Aの妻は既に死亡しており,Aの法定相続人は長男Bと長女Cのみです。Aは,Bを甲社の後継者にしようと考えており,同社株式100%をBに承継したいと考えています。現時点では,同社株式100%の時価は約3億円ですが,甲社の業績が良いため,10年後には2倍の約6億円にまで増える可能性があります。このような場合に,Aが,Bが甲社株式を承継する際の納税負担とCの遺留分について配慮しつつ,甲社株式を適切にBに承継するためには,どうすればよいでしょうか?
1 遺留分の基礎知識
2 遺留分の事前放棄による対策とその限界
3 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(遺留分に関する民法の特例)
4 旧代表者の推定相続人間の衡平を図るための措置に関する定め
5 遺留分に関する合意書
設例3 事業承継と生命保険の活用
旅行代理店の会社を経営しているのですが,3人の子供のうち1人を後継者として,その後継者に株式を全部相続させたいと考えています。このプランを,知り合いに話したところ,事業承継対策として生命保険が活用できると教えてくれました。相続税の支払の準備や相続人間の争いを避けるために生命保険を活用できると聞いているのですが,具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
1 事業承継で生命保険が活用されるポイント
2 生命保険契約の注意点
設例4 相続人売渡請求と事業承継
私の父は,電子部品メーカーの甲社のオーナーで,代表取締役を務めていましたが,先月心不全により急逝してしまいました。そのため,相続により,父が保有していた甲社株式(議決権割合70%)を,父の一人息子である私が承継することになりました。父は,常々,私に甲社の経営を引き継がせたいと言っていたので,私もそのつもりでした。
ところが,今月の初めに,甲社から株主総会の招集通知が届き,そこには,株主総会で私に対する株式売渡請求について決議をなす旨の記載がありました。私は意味が分からず,父とともに甲社を経営してきた副社長Aに説明を求めました。副社長Aは,「定款に,相続人に株式の売渡請求ができる規定があり,甲社があなたの株式を買い取ることになりました。なお,会社法により,あなたは,この売渡請求の決議について議決権を有しませんので,私が保有する30%の株式のみで本決議を行います。」と説明しました。このままでは,私の株式は甲社の自己株式となり,副社長Aが議決権の100%を有する株主となってしまいます。
突然のことで混乱していますが,副社長Aが言っていることは本当に正しいのでしょうか? また,私はどのような対策をとるべきなのでしょうか?
1 相続人等に対する売渡請求(会社法174 条)
2 具体的な事前対策
3 相続開始後の定款変更
設例5 持株会社を活用した事業承継
事業会社を3社経営していますが,これらの全ての会社を,長男に引き継がせたいと考えています。持株会社を活用すると,事業承継がスムーズに進むと聞いたのですが,具体的にはどのような方法なのでしょうか? また,どのようなメリットがあるのでしょうか?
1 持株会社とは
2 持株会社化の方法
3 持株会社化のメリット・デメリット
4 課税上の留意点
設例6 後継者が保有する持株会社を使った事業承継
私が100%株式を保有している会社は業績が好調で,税理士によると,毎年度,株式の相続税評価額が上昇しています。このまま業績が好調で株価が上昇していくと,後継者である息子に株式を承継するときには,多額の税金が発生しそうです。後継者が保有する持株会社を利用すると,株価が上昇する見込みの場合は税務的に有利だと聞いたのですが,具体的にはどのような方法でしょうか?
1 後継者が保有する持株会社
2 後継者の保有する持株会社
3 持株会社を使った間接保有のメリット
4 持株会社の株式評価
設例7 事業承継と従業員持株会
Aは,甲株式会社(以下「甲社」)の株式を100%保有しています。Aは,長男Bを後継者にしようと考えており,甲社の株式をBに承継したいと考えています。しかし,Aが保有する甲社全株式の相続税評価額は,原則的評価方法によれば,5億円に達することが分かりました。このままBに甲社全株式を承継すると,Bの納税負担額が重くなりすぎるため,従業員持株会を設立して,甲社株式の一部を古参の従業員たちに譲渡しようと考えています。従業員持株会はどのように設立すればよいでしょうか? また,従業員持株会の設立・運営においてはどのような点に注意する必要があるでしょうか?
1 従業員持株会の基礎知識
2 従業員持株会の設立
設例8 事業承継と種類株式
事業承継においては,種類株式を活用することができると聞きました。種類株式の中にもいろいろなものがあるそうですが,どのような制度があるのでしょうか? 具体的な活用の場面も教えてください。
1 総 論
2 議決権制限株式(会社法108条1項3号)
3 全部取得条項付種類株式(会社法108条1項7号)
4 拒否権付種類株式(会社法108条1項8号)
5 種類株式と相続税評価
設例9 事業承継と退職金
建設業を営んでいますが,長男に会社を引き継ぐために,社長を引退しようと考えています。退職金を会社から支給するに当たって,何か注意すべき点はあるでしょうか?
1 役員退職給与
2 法人税法上の「退職給与」に該当するか
3 「不相当に高額な部分」(法人税法 条2項)の有無
設例10 名義株と事業承継
私は運送会社を経営しています。会社を設立する際,友人の名義を借りて株主になってもらいました。会社への払込金は全て私が出したのですが,その時の友人の名義の株式がいまだに残っています。これから私の会社を息子に事業承継するに当たり,友人の名義の株式が残っていることは,何か問題となるでしょうか?
1 「名義株」とは
2 名義株の問題点
3 名義株を解消する方法
4 名義株に関する紛争類型
設例11 少数株主からの株式買取りと「みなし贈与」
衣料品卸メーカー甲社を経営しています。甲社には少数株主が多数いるため,事業承継をする前に,少数株主から株式を買い取って,株式を集約しておきたいと考えています。これから各々の少数株主と交渉をして株式を買い取る際,株式の譲渡価格はどのように決定すればよいでしょうか?
1 「著しく低い価額」(相続税法7条)とは
2 「時価」(相続税法7条)とは
3 「著しく低い価額」について具体的な規定はない
4 「著しく低い価額」と認定された裁判例
5 低額譲受と所得税
第2 親族外承継
設例12 SPC(特別目的会社)を利用したMBO による事業承継
私は,電子部品製造会社を経営していますが,親族に後継者となるべき者がいません。そこで,長年一緒に経営に携わってくれた副社長に,会社を譲ろうと考えています。ただ,副社長はそれほど資金を持っていないため,私の保有する株式を,個人で買い取ることができません。このような場合,私はどのようにして,副社長に会社を譲ればよいのでしょうか?
1 MBO のメリット
2 資金調達のためのSPC 設立
3 SPC を用いて事業承継する手順
● 法務と税務双方に精通した租税弁護士(タックス・ロイヤー)が、「法務と税務」混ぜ合わせの留意点を解説。
● 基礎的・典型的な「親族内継承」「親族外継承」をはじめ、応用的な「社団法人・財団法人の活用」「信託の活用」「国際承継」等について、具体的事例を取り上げ、法務・税務双方の観点から解説。
目次
第1章 総 論
第1 はじめに
第2 承継の方法と法務・税務上の留意点
1 生前贈与による事業承継
2 遺贈による事業承継
3 死因贈与による事業承継
4 売買による事業承継
第3 株式の評価方法
1 株式評価の重要性
2 株式評価の方法
3 財産評価基本通達による株式評価方法
4 M&A など株式譲渡の場合の株式評価方法
5 法務上の留意点
第2章 各 論
第1 親族内承継
設例1 事業承継税制
私は,製造業を営んでいますが,そろそろ,後継者である長男に会社の株式を全て譲りたいと考えています。この際,顧問税理士から,事業承継税制を活用すると,相続税や贈与税が安くなると聞きました。事業承継税制とは,具体的にどのような制度なのでしょうか? また,当社のような小規模な会社でも,事業承継税制を利用した方がよいのでしょうか?
1 事業承継税制の概略
2 事業承継税制のメリット・デメリット
3 納税猶予の要件の概要
4 納税猶予後の納税免除の主な事由
設例2 事業承継と遺留分に関する民法の特例
Aは,甲株式会社の代表取締役で,同社の株式を100%保有しています。Aの妻は既に死亡しており,Aの法定相続人は長男Bと長女Cのみです。Aは,Bを甲社の後継者にしようと考えており,同社株式100%をBに承継したいと考えています。現時点では,同社株式100%の時価は約3億円ですが,甲社の業績が良いため,10年後には2倍の約6億円にまで増える可能性があります。このような場合に,Aが,Bが甲社株式を承継する際の納税負担とCの遺留分について配慮しつつ,甲社株式を適切にBに承継するためには,どうすればよいでしょうか?
1 遺留分の基礎知識
2 遺留分の事前放棄による対策とその限界
3 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(遺留分に関する民法の特例)
4 旧代表者の推定相続人間の衡平を図るための措置に関する定め
5 遺留分に関する合意書
設例3 事業承継と生命保険の活用
旅行代理店の会社を経営しているのですが,3人の子供のうち1人を後継者として,その後継者に株式を全部相続させたいと考えています。このプランを,知り合いに話したところ,事業承継対策として生命保険が活用できると教えてくれました。相続税の支払の準備や相続人間の争いを避けるために生命保険を活用できると聞いているのですが,具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
1 事業承継で生命保険が活用されるポイント
2 生命保険契約の注意点
設例4 相続人売渡請求と事業承継
私の父は,電子部品メーカーの甲社のオーナーで,代表取締役を務めていましたが,先月心不全により急逝してしまいました。そのため,相続により,父が保有していた甲社株式(議決権割合70%)を,父の一人息子である私が承継することになりました。父は,常々,私に甲社の経営を引き継がせたいと言っていたので,私もそのつもりでした。
ところが,今月の初めに,甲社から株主総会の招集通知が届き,そこには,株主総会で私に対する株式売渡請求について決議をなす旨の記載がありました。私は意味が分からず,父とともに甲社を経営してきた副社長Aに説明を求めました。副社長Aは,「定款に,相続人に株式の売渡請求ができる規定があり,甲社があなたの株式を買い取ることになりました。なお,会社法により,あなたは,この売渡請求の決議について議決権を有しませんので,私が保有する30%の株式のみで本決議を行います。」と説明しました。このままでは,私の株式は甲社の自己株式となり,副社長Aが議決権の100%を有する株主となってしまいます。
突然のことで混乱していますが,副社長Aが言っていることは本当に正しいのでしょうか? また,私はどのような対策をとるべきなのでしょうか?
1 相続人等に対する売渡請求(会社法174 条)
2 具体的な事前対策
3 相続開始後の定款変更
設例5 持株会社を活用した事業承継
事業会社を3社経営していますが,これらの全ての会社を,長男に引き継がせたいと考えています。持株会社を活用すると,事業承継がスムーズに進むと聞いたのですが,具体的にはどのような方法なのでしょうか? また,どのようなメリットがあるのでしょうか?
1 持株会社とは
2 持株会社化の方法
3 持株会社化のメリット・デメリット
4 課税上の留意点
設例6 後継者が保有する持株会社を使った事業承継
私が100%株式を保有している会社は業績が好調で,税理士によると,毎年度,株式の相続税評価額が上昇しています。このまま業績が好調で株価が上昇していくと,後継者である息子に株式を承継するときには,多額の税金が発生しそうです。後継者が保有する持株会社を利用すると,株価が上昇する見込みの場合は税務的に有利だと聞いたのですが,具体的にはどのような方法でしょうか?
1 後継者が保有する持株会社
2 後継者の保有する持株会社
3 持株会社を使った間接保有のメリット
4 持株会社の株式評価
設例7 事業承継と従業員持株会
Aは,甲株式会社(以下「甲社」)の株式を100%保有しています。Aは,長男Bを後継者にしようと考えており,甲社の株式をBに承継したいと考えています。しかし,Aが保有する甲社全株式の相続税評価額は,原則的評価方法によれば,5億円に達することが分かりました。このままBに甲社全株式を承継すると,Bの納税負担額が重くなりすぎるため,従業員持株会を設立して,甲社株式の一部を古参の従業員たちに譲渡しようと考えています。従業員持株会はどのように設立すればよいでしょうか? また,従業員持株会の設立・運営においてはどのような点に注意する必要があるでしょうか?
1 従業員持株会の基礎知識
2 従業員持株会の設立
設例8 事業承継と種類株式
事業承継においては,種類株式を活用することができると聞きました。種類株式の中にもいろいろなものがあるそうですが,どのような制度があるのでしょうか? 具体的な活用の場面も教えてください。
1 総 論
2 議決権制限株式(会社法108条1項3号)
3 全部取得条項付種類株式(会社法108条1項7号)
4 拒否権付種類株式(会社法108条1項8号)
5 種類株式と相続税評価
設例9 事業承継と退職金
建設業を営んでいますが,長男に会社を引き継ぐために,社長を引退しようと考えています。退職金を会社から支給するに当たって,何か注意すべき点はあるでしょうか?
1 役員退職給与
2 法人税法上の「退職給与」に該当するか
3 「不相当に高額な部分」(法人税法 条2項)の有無
設例10 名義株と事業承継
私は運送会社を経営しています。会社を設立する際,友人の名義を借りて株主になってもらいました。会社への払込金は全て私が出したのですが,その時の友人の名義の株式がいまだに残っています。これから私の会社を息子に事業承継するに当たり,友人の名義の株式が残っていることは,何か問題となるでしょうか?
1 「名義株」とは
2 名義株の問題点
3 名義株を解消する方法
4 名義株に関する紛争類型
設例11 少数株主からの株式買取りと「みなし贈与」
衣料品卸メーカー甲社を経営しています。甲社には少数株主が多数いるため,事業承継をする前に,少数株主から株式を買い取って,株式を集約しておきたいと考えています。これから各々の少数株主と交渉をして株式を買い取る際,株式の譲渡価格はどのように決定すればよいでしょうか?
1 「著しく低い価額」(相続税法7条)とは
2 「時価」(相続税法7条)とは
3 「著しく低い価額」について具体的な規定はない
4 「著しく低い価額」と認定された裁判例
5 低額譲受と所得税
第2 親族外承継
設例12 SPC(特別目的会社)を利用したMBO による事業承継
私は,電子部品製造会社を経営していますが,親族に後継者となるべき者がいません。そこで,長年一緒に経営に携わってくれた副社長に,会社を譲ろうと考えています。ただ,副社長はそれほど資金を持っていないため,私の保有する株式を,個人で買い取ることができません。このような場合,私はどのようにして,副社長に会社を譲ればよいのでしょうか?
1 MBO のメリット
2 資金調達のためのSPC 設立
3 SPC を用いて事業承継する手順