スポーツを法的に考える2―ヨーロッパ・サッカーとEU法 (信山社新書)

スポーツを法的に考える2―ヨーロッパ・サッカーとEU法 (信山社新書)

販売価格: 990円 税込

著者
井上典之・著
発行元
信山社
発刊日
2021-06-30
ISBN
978-4-7972-8107-1
CD-ROM
無し
サイズ
新書判 (220ページ)
◆スポーツからEUを、EUからスポーツを理解する◆
【目 次】

◆序◆なぜEUか?
◇1 日本の問題を考えるために
スポーツ団体のモデルとなるヨーロッパ/日本も事情は同じ/スポーツ法の検討は同時にEUをも対象にする
◇2 複雑で理解しづらいEU
二一世紀の「新たな試み」としてのEU/統合への発展は同時に揺らぎをも引き起こす/サッカーから考える
◇3 日本とは異なるスポーツ選手の地位
スポーツ選手は尊敬される/選手の法的地位は権利問題
◇4 特徴的なヨーロッパ・サッカーとEU法
結局は「多様性における統合」を目指して

◆第1章◆欧州統合への船出─EUとは何か・その一
◇1 二〇世紀ヨーロッパの苦悩
近代の主権・国民国家の枠組み/悲劇を生み出す近代の主権・国民国家 他
◇2 苦悩からの自律的脱却の提案
まずは経済の立て直し/もう一つは平和の実現/昨日の敵は今日の友
◇3 シューマン宣言
「フランスからドイツ」への提案/世界平和へ向けた欧州の貢献 他
◇4 欧州統合の基盤としての条約
条約に基づく欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)/英国の不参加/共同体発展の可能性を残して

◆第2章◆規範複合体として─EUとは何か・その二
◇1 欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)からECへ
まず経済から始めよう/三つを一つに/英国加盟から始まるECの拡大/ECの量的拡大と質的停滞
◇2 質的拡大からEUへ
域内市場の構築/国境検査なしの移動の自由は警察協力も伴う/ベルリンの壁崩壊と欧州連合への展開
◇3 マーストリヒト条約からリスボン条約へ
条約改正による統合の深化/東への拡大の準備のための条約改正/EU独自の基本権保障 他
◇4 条約によって創られた超国家的連合体
すべての活動は条約の範囲内/独立の法人格は持つが……/分かりにくい存在を理解するために

◆第3章◆欧州統合への道のりとスポーツ
◇1 EUへの参加拡大
EUへの加盟国の増加/EUの出発点
◇2 参加することに意義がある
「平和の祭典」:オリンピック/「友愛」精神に基づく汎ヨーロッパ主義/国家の枠組みとオリンピック
◇3 UEFAをモデルにしたEU?
EUは市民の連合体か?/国家間条約によるEU/共通文化としてのサッカー 他

◆第4章◆リスボン条約におけるスポーツのテーマ化
◇1 ECとEU
欧州統合の出発/ECとEUの併存/EUへの一元化
◇2 EUにおける民主主義の赤字(Defizit der Demokratie)
EUの性格決定プロセスの民主的正当性/民主制実現のための「EU市民」
◇3 「EU市民」形成の触媒としてのスポーツ
スポーツの持つ社会統合的機能/EUスポーツ・フォーラムの開催/経済的側面からのみとらえられたスポーツ 他
◇4 リスボン条約でのスポーツ条項の導入
リスボン条約による不確実さの解消/スポーツ条項の導入と権限の明確化 他

◆第5章◆ヨーロッパ・サッカーとEU法
◇1 平和構築・維持の機構としてのEU
戦争の歴史としての欧州史/欧州の平和構築を目的にしたEU/物理的軍事力を持たないEU
◇2 国家単位で構成されたUEFA
平和維持をも目的とするサッカー/ヨーロッパ地域を統括するUEFA 他 ◇3 ナショナル・チームとナショナリズム
国家の利害衝突をも惹起する超国家的組織/ナショナル・チームによる国際大会 他
◇4 UEFAの持つもう一つの顔
市民の自然な感情からの社会統合のために/経済的側面からの規制の存在

◆第6章◆ヨーロッパ・サッカー・リーグの特徴
◇1 秋の気配とともに
スポーツの秋/サッカーの季節の始まり
◇2 プロ・クラブとしてのリーグ戦とナショナル・チームの試合
クラブ・チームと区別されるナショナル・チームの国際大会/サッカーという同一のパフォーマンスの法的関係 他 ◇3 各国リーグ組織の内容とその相違
イングランド・プレミア・リーグの仕組み/ドイツ・ブンデス・リーガの仕組み 他
◇4 モデルとしての「多様性における統一(unity in diversity)」
サッカー・リーグにみる「多様性における統一」

◆第7章◆EUに対してUEFAの持つ二面性
◇1 超国家的連合体としてのEUとUEFA
人権尊重というEUの理念/超国家的連合体の母体は加盟国、それとも市民?/国家を超えて何ができるのか?
◇2 EUの規律対象としてのUEFA
EUから見た経済活動の主体となる団体の位置づけ/UEFAによる経済活動/UEFA主催の大会の非営利性? 他
◇3 複雑なプロ・スポーツの組織構造
EUとEU市民の間にある私的団体/スポーツのプロ化の仕組み/統一的ルールの存在 他
◇4 EU法の出番はどこに?
プロ・サッカーはEU法の規律対象?/UEFAと加盟各国協会という自律的組織/私的団体に直接介入するEU

◆第8章◆選手は労働者、それとも文化の担い手?
◇1 グローバル化の進むヨーロッパ・サッカー
ヨーロッパ・サッカーの人気/より高額の収入を得られるヨーロッパ・サッカー 他
◇2 スポーツ・クラブの個人に対する非情さ
出発点での選手の弱い立場/選手契約の下での選手の地位の弱さ/クラブによる選手に対する強いガバナンス
◇3 EU法によるプロ・サッカーのコントロール
経済活動としてのサッカー/統一的ルールによる選手契約の規律/三つの基本的自由/EU法の下での直接的な法的問題
◇4 プロ・サッカー選手の法的問題としてのボスマン判決の事案
ボスマン判決とは/元々は国内法の問題/やはりUEFAの統一的ルールが問題 ◇5 欧州司法裁判所におけるボスマン判決
スポーツに関する先例の存在/雇用契約ではないプロ選手契約の問題/労働者の移動の自由はEU法上の基本原則 他

◆第9章◆助成のための資金調達?
◇1 オール・スターのようなサッカー・クラブの問題
ボスマン判決のプラスの効果/結果としての「銀河系軍団」の出現 他
◇2 ボスマン判決の最大の問題点
移籍金制度の存続?/選手契約の譲渡という新たな仕組み/傭兵として商品化の進む選手としての個人
◇3 競争のための資金調達?
リーグ間の競争も激化/競争のための国家による資金補助/国家もEUの規制対象
◇4 国の経済活動はEUの規制対象
民営化による規制事象の減少/補助金のための財源は?/スポーツ保護の財源確保の手段としての国家独占 他

◆第10章◆EUの持続可能な発展のための活動
◇1 サッカーというスポーツの隆盛
サッカーの中心としてのヨーロッパ/商業化したプロ・サッカーの法的側面/経済性と公共性の融合する事象としてのプロ・サッカー
◇2 経済活動としてのプロ・サッカー
興行を商品とするプロ・スポーツ/様々な法的組織形態をとるサッカー・クラブ/赤字経営は許さないFFP 他
◇3 企業の社会的責任
スポンサーを必要とするクラブ運営/企業の社会的責任の一環としてのサッカーを通じた社会貢献 他
◇4 サッカーからEUの発展へ
ステークホルダーに対する企業の説明責任/消費者としてのサポーターを視野に入れた企業の投資

◆第11章◆EU市民法とプロ・サッカー
◇1 地域密着型のプロ・サッカー
「おらがチーム」とフランチャイズ制/サッカーの「ホーム・アンド・アウェー方式」/「ホームタウン制」による地域の持続的発展
◇2 EU市民法から見た地域密着型の問題
「ホームタウン」での開催の義務づけ/サッカーの経済的側面からの問題/EU競争法に服するプロ・サッカー
◇3 「ホームタウン制」は反競争的政策か?
「ホームタウン制」の競争法違反の可能性/一つの「ホームタウン」に複数のクラブ?/複数のプロ・スポーツの存在/サッカーの持つ独自性
◇4 サッカーに固有のルールとしての「ホームタウン制」
基本権主体としてのUEFA/結社の自由による団体の自律権の保障/固有のルールとしての競技・組織ルール/サッカー文化の隆盛と「ホームタウン制」

◆第12章◆EUの価値観の実現に向けて
◇1 欧州共通の文化的公共財
サッカーによる欧州統合/ヨーロッパにおけるサッカーの特殊性からの注意点 他
◇2 EUの価値観としての人権尊重
基本権に基礎づけられたEUのシステム/人権・基本権の一つとしての結社の自由 他
◇3 サッカーでの差別的行為の根絶
団体にも求められる人権・基本権の尊重/サッカー団体による差別的行為の根絶活動 他
◇4 多民族・多
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