〈ケース研究〉著作物の類似性判断 ビジュアルアート編

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著作権事件で最も問題となることの多い「類似性」要件。裁判例の分析と著者同士の対談を通じて、その判断の在り方を徹底研究。
著作権法に精通する研究者と実務家がタッグを組み、著作権侵害をめぐる紛争において最も問題となることの多い「類似性」の要件を徹底的に研究する。イラスト・美術・写真等のビジュアルアートについて、裁判所の判断傾向を丹念に分析し、著者同士の対談を通じてさらに議論を深めることで、多角的な視点からの検討を試みた一冊。
目次
はしがき
第1編 理論編
第1章 著作物の類似性[上野達弘]
第1節 はじめに
第2節 類似性とは
1 類似性=「表現上の本質的な特徴を直接感得」できること(判例)
2 「類似性」という名称について
3 「創作的表現の共通性」が前提
第3節 課 題
1 アイディア/表現
2 創作性
3 創作性の高低と類似性判断
4 創作的表現の共通性の判断方法
5 類似性(=「表現上の本質的な特徴を直接感得」できること)の意味
6 類似性判断の基準となる主体
7 著作物の著名性/需用者の誤認混同
8 類似性の主張立証責任
第4節 おわりに
第2章 類似性判断の実務[前田哲男]
第1節 類似性判断の対象
1 請求の特定の必要性
2 被侵害著作物の特定の方法
3 原告が特定した箇所以外の部分に基づく反論の可否
第2節 類似性の判断に関する法的構造
1 事実か法的評価か
2 主張立証責任
3 評価の時点
第2編 ケース編
第1章 イラスト
Ⅰ 判例の概観[上野達弘]
1 総 説
2 裁判例
? 類似性を否定した裁判例
【ケース1─1】タウンページ・キャラクター事件
【ケース1─2】けろけろけろっぴ事件
【ケース1─3】うるせぇトリ事件
【ケース1─4】コーポレーションペンギン事件
【ケース1─5】坂井真紀イラスト事件
【ケース1─6】マンション読本事件
【ケース1─7】博士イラスト事件
【ケース1─8】レターセット事件
? 類似性を肯定した裁判例
【ケース1─9】サザエさんバス事件
【ケース1─10】たいやきくん事件
【ケース1─11】ライダーマン事件
【ケース1─12】無人契約機¥enむすび事件
【ケース1─13】パンシロントリム事件
【ケース1─14】出る順シリーズ事件
【ケース1─15】パンダイラスト事件
【ケース1─16】ノンタン事件
【ケース1─17】ひこにゃん事件
【ケース1─18】フラねこ事件
【ケース1─19】眠り猫事件
【ケース1─20】ふわふわ四季のたより事件
Ⅱ 対談的検討[上野達弘・前田哲男]
■比較する部分・範囲の広さ
■イラストの著名性が与える影響
■「原告著作物」とは?
■博士イラストの創作性
■比較すべき対象はどこなのか
■レターセット事件
■出る順シリーズ事件
■類似性判断は、時代と共に変わり得るのか
■ノンタン事件・たいやきくん事件
■無人契約機¥enむすび事件
■パンシロントリム事件
■眠り猫事件
■創作性に関する主張立証
■「ありふれている」「ありふれていない」ことの判断
■どこまでが一つの著作物か
第2章 美術・人形・ぬいぐるみ・ブックカバー
Ⅰ 判例の概観[上野達弘]
1 総 説
2 裁判例
? 類似性を否定した裁判例
【ケース2─1】劇団SCOT事件
【ケース2─2】たち吉事件
【ケース2─3】猫のぬいぐるみ事件
【ケース2─4】巻くだけダイエット事件
【ケース2─5】完全自殺マニュアル事件
? 類似性を肯定した裁判例
【ケース2─6】民家の暖簾事件
【ケース2─7】仏画事件
【ケース2─8】エルミア・ド・ホーリィ事件
【ケース2─9】金魚電話ボックス事件
【ケース2─10】角川mini文庫事件
【ケース2─11】日野市壁画事件
【ケース2─12】博多人形赤とんぼ事件
【ケース2─13】トントゥ人形事件
【ケース2─14】入門漢方医学事件
? 著作物性を否定した裁判例
【ケース2─15】プチホルダー事件
【ケース2─16】ファービー事件
Ⅱ 対談的検討[上野達弘・前田哲男]
■現代アートと著作権の親和性
■アイディアと表現の境目はどこか
■たち吉事件
■「表現上の本質的な特徴」概念の捉え方
■民家の暖簾事件
■商品としてではなく、漫画の背景だったとしたら
■本質的特徴をどこから感得するか
■エルミア・ド・ホーリィ事件
■角川mini文庫事件
■日野市壁画事件
■入門漢方医学事件
■巻くだけダイエット事件・完全自殺マニュアル事件
第3章 書・文字
Ⅰ 判例の概観[上野達弘]
1 総 説
2 裁判例
? 類似性を否定した裁判例
【ケース3─1】動書「鶴」事件
【ケース3─2】デザイン書体「趣」事件
【ケース3─3】雪月花事件
? 類似性を肯定した裁判例
【ケース3─4】動書「私の散歩道」事件
? 著作物性を否定した裁判例
【ケース3─5】シャトー勝沼事件
【ケース3─6】かつ~ん事件
【ケース3─7】アサックス事件
【ケース3─8】住友建機株式会社ロゴ事件
【ケース3─9】ゴナU事件
【ケース3─10】INTERCEPTER事件
? 複製主体に当たらないことを理由に侵害を否定した裁判例
【ケース3─11】動書「佳扇」事件
【ケース3─12】動書「華」事件
Ⅱ 対談的検討[上野達弘・前田哲男]
■書では、類似性を否定されたケースが多い?
■1文字の場合における創作性の捉え方
■手書き原稿や写経の著作物性
■実用目的だが、筆で書かれているという場合
■ロゴマークに著作物性を認めることがもたらす影響
■タイプフェイスの著作物性
■裁判所における判断の傾向
第4章 写 真
Ⅰ 判例の概観[上野達弘]
1 総 説
2 裁判例
? 類似性を否定した裁判例
【ケース4─1】廃墟写真事件
【ケース4─2】コーヒーを飲む男性事件
【ケース4─3】カーテン商品カタログ事件
【ケース4─4】ニューディナーパン事件
【ケース4─5】播磨喜水パッケージデザイン事件
【ケース4─6】おもてなしプレゼント事件
? 類似性を肯定した裁判例
【ケース4─7】ヘアデザイン写真事件
【ケース4─8】たぬピク事件
【ケース4─9】マンモス画像事件
【ケース4─10】東京アウトサイダーズ事件
【ケース4─11】パロディ=モンタージュ事件
【ケース4─12】グルニエ・ダイン事件
【ケース4─13】みずみずしいすいか事件
【ケース4─14】祇園祭写真事件
【ケース4─15】舞妓写真事件
? 著作物性を否定した裁判例
【ケース4─16】久保田一竹美術館事件
【ケース4─17】メガネサロントミナガ事件
Ⅱ 対談的検討[上野達弘・前田哲男]
■風景写真の創作性を基礎づける要素
■立体物である商品の写真の著作者は誰か
■たぬピク事件・マンモス画像事件
■被写体に関する工夫の考慮
■写真をもとに絵を描く行為、トレース
■東京アウトサイダーズ事件
■グルニエ・ダイン事件
■おもてなしプレゼント事件
事項索引
判例索引