判例にみる 遺言解釈のポイント 趣旨が不明確、多義的、不記載・誤記、実態との相違、抵触など

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判例にみる 遺言解釈のポイント 趣旨が不明確、多義的、不記載・誤記、実態との相違、抵触など

販売価格: 4,620円 税込

著者
赤西芳文・編著
発行元
新日本法規
発刊日
2023-07-26
ISBN
978-4-7882-9220-8
CD-ROM
無し
サイズ
A5判 (336ページ)


相続トラブルを防ぐ遺言書作成のために!



◆遺言解釈が争点となった裁判例から重要なものを5つの類型に分類・整理し、遺言の記載内容に対する裁判所の判断や裁判例の意義、特徴等を解説しています。

◆遺言解釈のポイントを理解することにより、適切な遺言書作成に役立ちます。

◆元大阪高等裁判所部総括判事が裁判官の目線で編集しています。


目次
第1章 遺言文言の趣旨が争われたもの
1 趣旨が不明確な記載 
 1 「一切の財産は〇〇にゆずる」との文言を遺贈の趣旨と解し、養女〇〇に「後を継すことは出来ないから離縁をしたい」の文言を相続人廃除の趣旨と解することが相当であるとされた事例
 2 「相続人を選定し〇〇家の再こうをお願いします。」との遺言文言について、相続人にならない者に対し遺産を遺贈する趣旨ではなく、相続人を指定する趣旨であって無効であるとされた事例
 3 「私の現在の財産年金の受給権は〇〇にわ一切受取らせないようお願ひします」との遺言文言の趣旨は〇〇を推定相続人から廃除する意思を表示したものと解すべきであるとされた事例
 4 遺言書の「G FにBの面倒をたのみます私のけん利の土地をゆずります」との記載が、G及びFに被相続人A死亡後長女Bの世話をすることを依頼すると共にA所有土地を2分の1ずつの持分割合で死因贈与するとの趣旨であるとされた事例
 5 「金員の全ては3人の子供の養育の為にのみに使用して下さい。」「私の自宅は、〇〇の姓を名のり、又〇〇家の血脈を継承する人間のみが出入りし、使用して下さい。」「金員の管理は、〇〇家によって行われるものとして下さい」等の遺言文言が、子に財産を遺贈し、母の管理権を奪い、管理人を指定するものと解された事例
 6 「土地はXへ」「家は二人で使うように」との文言があり、作成日付の後に「あとのことは、Xに任せる」「Yのことを面倒みるように」との記載がある遺言について、土地はXに相続させるが、建物はXY両名で使用させることとし、XにYの面倒を見るように託したものと解された事例
 7 「吾亡きあと妻及び遺財のことにつき申し残すもの也」「財は妻Xの志思によりて処分するものなり吾が財は子のものにあらす孫のものにあらず吾と妻のものなるによる也」(第1遺言)「財の処分はXの意志に任せること」(第2遺言)との各遺言文言につき、全ての遺産を妻Xに相続させるとの趣旨と解された事例

2 「相続させる」との文言
 8 「建物の存在する土地を4分割し、西から順に4名の相続人に相続させる」との遺言文言について、相続による当然承継を妨げる特段の事情はないとされた事例
 9 「財産のすべてを相続人〇〇に相続させる」との遺言がされたが、上記相続人〇〇が被相続人よりも先に死亡した場合に遺言の当該部分は失効するとされた事例
 10 「財産全部を相続させる」旨の遺言に対し、遺留分減殺請求がされた場合に請求者の相続債務を加算することはできないとされた事例

3 「まかせる」との文言
 11 「いさんそうぞくの指定としっこうを○○にいたくする」との遺言が相続分の指定
と遺産分割方法の指定を委託した趣旨であると解された事例
 12 「〇〇家の財産は全部〇〇にまかせる」との遺言が遺贈とは認められなかった事例
 13 「家屋と借地権を自由に裁量処分することを相続人〇〇に委任する」との条項は「相続させる」との趣旨に解すべきであるとされた事例
 14 「〇〇名義の物はXにまかせる」との遺言文言が包括遺贈の趣旨ではないとされた事例
 15 「全部Xちゃんにおまかせです よろしく整理して下さい」との遺言文言が遺産全部の遺贈と解された事例
 16 「財産については私の世話をしてくれた長女のXに全てまかせます」との遺言文言が包括遺贈の趣旨と解された事例
 17 「Aは〇〇にすべてまかせる」との遺言が包括遺贈の趣旨であると解された事例
 18 「不動産の相続は、夫のX1にすべてまかせます」との遺言文言が当該不動産を夫に相続させる趣旨であると解された事例
 19 「預貯金、身の周りの物の整理を〇〇さんにすべて委託します。」との遺言文言が預貯金の遺贈の趣旨であるとされた事例

4 条件付きの記載
 20 妻に全財産を相続させる旨の遺言が停止条件を付したものとは認められないとされた事例
 21 遺言者とその妻の同時死亡が遺言の効力発生の停止条件とされており、遺言者が死亡し、妻が生存したことにより、同遺言が無効であるとされた事例
 22 内縁の妻に対して財産を遺贈する旨の公正証書遺言について、同遺言が遺言者と内縁の妻との内縁関係の継続を前提又は条件としてなされたものであるとは認められなかった事例
 23 「長男Yを遺言者の経営するd(株)の後継者と定め、会社の株を含む後の1/2をYに相続させます。」との遺言について、遺言者の真意は、業種や事業規模を問わずYに遺言者が経営していたd社を委ねる趣旨であり、「会社としての実体のある金物業としてのd社の跡を継ぐこと」が相続の停止条件であったと認めることはできないとされた事例
 24 遺言書本文が封入された封筒の裏面記載の「◎私がBより先に死亡した場合の遺言書」との記載も遺言の内容に含まれ、遺言が被相続人が死亡した際にBが生存していることを停止条件とするものであるとされた事例

5 遺言の抵触
 25 終生扶養を受けることを前提として養子縁組したうえその所有する不動産の大半を養子に遺贈する旨の遺言をした者が、その後、協議離縁した場合には、上記遺贈は後の協議離縁と抵触するものとして民法1023条2項の規定により取り消されたものとみなさざるをえないとされた事例
 26 高齢の夫がその妻に遺産をすべて譲るとの遺言を作成した後、妻の死後、土地家屋の処分代金を子供らに一定の割合で与
える旨の遺言を作成した場合、右二通の遺言の内容に抵触がないとされた事例
 27 相続させる旨の公正証書遺言とその後に作成した自筆証書遺言の内容に抵触はなく、両遺言は一体となって遺産全体についての処分が定められたものと解された事例
 28 遺言の一部がそれと抵触する後の遺言により取り消されているからその限度で無効となるとされた事例


第2章 財産に関する記載が争われたもの
1 不明確・多義的な記載
 29 「青桐の木より南方地所はXニXニ譲ル」という記載が特定土地の遺贈の趣旨であるとされた事例
 30 「普通口座のひとつ」を贈与するとの記載について、定期預金口座をも贈与する趣旨と解するのが相当であるとされた事例
 31 住居表示で表示された不動産の遺贈につき、同所にある土地及び建物のうち建物のみを目的としたものと限定して解することは相当でないとされた事例
 32 遺言書の「遺産金の十分の七」という記載につき、現金・預貯金の10分の7ではなく、相続財産全部の10分の7と解釈された事例
 33 「財産の全て(現金・預貯金を含む。)」の「財産」が消極財産である債務を含むとまでは認められないとされた事例
 34 「此の家と地上権はD子に上げてください。」という記載は、自宅建物とその敷地の借地権について遺産分割方法を指定したものであると解釈された事例
 35 不動産及び預託財産以外の「一切の財産」とは少額の財産を意味するとされたほか、葬儀費用の負担者について判断された事例
 36 「右各金融機関における遺言者名義の金融債権及び有価証券の全部」に遺言者所有の株式が含まれないと解された事例
 37 遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況を考慮してもなお「物品(金その他)すべて一切」の意味を確定し難い本件では、その文言の通常の意義に従って解釈することが相当であるとされた事例
 38 「〇〇寺に郵便局・銀行の有価証券を遺贈する」との遺言について、有価証券が遺産に存在しなかったが、預貯金債権を遺贈する趣旨であるとされた事例
 39 「別紙資料のとおり不動産のすべてを現住所世田谷区(以下省略)Y₂に無償で譲与する」との遺言が「別紙資料」の添付がなくとも、遺贈目的物の特定を欠くとはいえないと解された事例
 40 「動産」は、不動産以外の有体物のみならず、金融機関に預け入れた有価証券等や預貯金も示すと解釈された事例
 41 「残ったお金は全部Xにあげます」との遺言文言につき、被相続人の有する損害賠
償請求権も上記遺言中の「お金」に含まれるとした事例
 42 遺言は香港における財産のみを対象とし、「私の遺産に関する私の債務」に日本における債務は含まないと解釈された事例

2 不記載・誤記
 43 遺言書に、「土地」、「建物」、「定期預金」、「株券」は記載されているものの、「普通預金」、「投資信託」、「国債」、「出資金」、「現金」、「動産」という記載がない場合に、相続財産すべての遺贈が認められた事例
 44 Xに旧建物を取得させるとした遺言について、遺言作成後に旧建物が取り壊され、同敷地上に新建物が築造され、所有権保存登記が経由された場合、遺言書に記載のない新
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