専門家のための 中小PMI実践ガイドブック
販売価格: 3,080円 税込
顧客企業に信頼されるための一冊!!
M&Aの統合プロセスを成功に導く
プロが装備すべきスキルとは・・
事業承継支援コンサルティング研究会
【内容】
以前はM&A に抵抗を感じる事業者も多かったと思うが、これが近年ではだいぶやわらいでおり、中小企業の世界でもM&A が受け入れられるようになってきた。中小企業にとってM&A には2つの側面がある。後継者不足に悩む企業にとっては、第三者が自社を買収してくれることによって事業を存続させることができるという意味がある。技術を次世代につなぐとともに、雇用を守り、お客様にも迷惑をかけずに済む。一方、成長指向の強い企業にとっては、時間をかけて新規事業に取り組むよりは、他社を買収することによって失敗するリスクを軽減しつつ時間を買うことができる。つまり、M&A は廃業から生ずる経済的損失を回避できるという点で社会的に意義のある取り組みであり、個々の中小企業の成長戦略にとって有効な手段なのである。
しかし、中小企業でM&A が期待通りの結果につながっていない場合が多いといわれる。その原因は様々であろうが、M&A 後の統合作業、いわゆるPMI が十分に行われていないことが1つの要因になっている。M&A 自体が目的になっていたり、M&A で実現させたい自社の姿が明確でなかったりする場合がある。また、M&A の目的は明確なのだが、買収後の経営にどう取り組めば良いのかが分からないケースもあるだろう。そもそも他社を買収して適切に経営していくのは難易度の高い作業なのである。
これを中小企業を支援する立場から見てみると、M&A 自体には仲介業者やアドバイザーなどの支援者がいるものの、M&A 後の経営であるPMIに対応できる支援者は多いとはいえない。
そんな中、2022年3月に中小企業庁から「中小PMI ガイドライン」が発行された。M&A を成功させるためにはPMI が重要であるという点に着目し、譲受側の企業が取り組むべき課題を整理したものである。
私たち事業承継支援コンサルティング研究会は、従来から、親族内承継、第三者承継など事業承継全般について研究を行ってきた。M&A およびPMI の重要性が社会において高まる中、士業やコンサルタント等の支援者が支援活動を進める際に役立つ情報を提供することが必要とされている。そこで、支援者を対象とした参考資料として本ガイドブックを制作した。もちろん、M&A を考えている中小企業の経営者や経営幹部の方にも役立つ内容を目指した。
【主要目次】
◆第1章 M&A とPMI の概要
Ⅰ M&A の増加で重視されるPMI
【1】中小企業へのM&A の浸透
【2】PMI の概念
【3】M&A やPMI に関する中小企業施策
Ⅱ 中小M&A の形態とPMI
【1】M&A の類型の整理
【2】M&A 形態とPMI
Ⅲ M&A プロセスとPMI プロセス
【1】M&A におけるPMI の位置づけ
【2】PMI のSTEP1(PMI の準備に着手する段階)
【3】PMI のSTEP2(PMI の準備を本格化する段階)
【4】PMI のSTEP3(PMI を集中的に実行・推進する段階)
【5】PMI のSTEP4(PMI が一段落して以降の段階)
◆第2章 中小PMI の進め方
Ⅰ M&A を成功させる初期検討
【1】企業価値を高める手段としてのM&A
【2】自社の成長ストーリーを明確にする
【3】現状認識ローカルベンチマークの活用
【4】M&A で何をどう実現するのか
Ⅱ ビジネスデューデリジェンス
【1】プレPMI M&A 成立前のPMI への準備
【2】ビジネスDD で何を見る?
【3】PMI に向けた優先順位事項の選定
Ⅲ PMI の推進体制
【1】統合プロジェクトマネージャーは誰か?
【2】PMI 推進チームなど組めない場合どうするか?
【3】人材発掘とリテンション(慰留)の進め方
【4】なぜ「100日」なのか
Ⅳ PMI の実行者に必要なスキル、ノウハウ
【1】プロジェクトマネジメント
【2】優先順位の決め方
【3】PMI の現場で使える心理学
Ⅴ PMI のスケジュール、段階ごとの実施内容
【1】Day0からDay1までの約1か月でやること
【2】PMI 集中実施期①最初の100日
【3】中に入って初めて分かる現状とクイック・ヒット
【4】PMI 集中実施期②残りの265日
Ⅵ 成長シナリオを描くためのプロセス
【1】有効なシナジーの模索、組織・要員のアップデート
【2】会社の成長シナリオを個人レベルにブレイクダウンして示す
【3】PMI を通じた信頼関係の構築
【4】企業文化の統合(融合)
◆第3章 経営の統合
Ⅰ 経営の統合とは
Ⅱ 経営の方向性をどうやって統合するか
【1】経営の方向性とは何か
【2】中小企業における経営理念
【3】経営理念・ビジョンの浸透が重要
【4】経営戦略・経営目標・事業計画の策定
【5】PMI における経営の方向性の統合プロセス
Ⅲ 知的資産と人的資産の統合
【1】知的資産の重要性
【2】承継対象となる知的資産
【3】知的資産統合のプロセス
【4】譲渡側の知的資産の把握
【5】譲渡側の強みが属している人材の活用
【6】譲渡側の知的資産の定着
【7】譲受側の知的資産も見える化して知的資産を統合する
【8】人的資産の統合
Ⅳ 経営体制の確立
【1】ガバナンス構築の意義
【2】意思決定と権限委譲
【3】人事
【4】業績評価
V 組織
【1】組織設計の要素
【2】組織形態の種類
【3】合併など一体化する場合の組織設計
【4】マトリックス組織の活用・・CFT(クロスファンクショナルチーム)
Ⅵ 財務の統合
【1】財務の統合の意義
【2】事業別資金の配分
【3】統合資金計画
【4】資金調達の統合
Ⅶ 戦略策定と推進体制
【1】経営理念、経営戦略の策定
【2】PMI 推進機能と組織編制、メンバーの選定
Ⅷ 統合作業の実践
【1】現状分析
【2】経営目標と利益計画の策定
【3】施策と行動計画の策定
【4】経営管理サイクル
◆第4章 事業機能の統合
Ⅰ 業務統合の2つの側面
Ⅱ 事業機能統合のステップとゴール
【1】事業機能統合のステップ
【2】事業機能統合のゴール
【3】事業機能統合におけるシナジー効果
Ⅲ 売上シナジー
【1】経営資源の相互活用による売上シナジー
【2】経営資源の組み合わせによる売上シナジー
Ⅳ コストシナジー
【1】売上原価シナジー
【2】調達シナジー
【3】生産シナジー
【4】販管費シナジー
◆第5章 管理機能の統合
Ⅰ 管理機能統合のポイント
【1】管理機能の全体最適の追求
【2】組織の編成や体制の確認
【3】統合作業の実践
Ⅱ 総務・法務機能の統合
【1】総務・法務の統合作業の特性と主な項目
【2】事業活動に必要な免許や許可など
【3】商事法務
【4】取引法務
【5】譲受側が個人の場合(法人との比較)
【6】知的財産権の取り扱い
【7】総務・法務分野のその他のPMI 業務
Ⅲ 人事・労務の統合
【1】人事・労務統合の意義
【2】人事・労務制度の統合の注意点
【3】譲渡側の法令違反
【4】人事・労務の統合
【5】従業員説明の重要性
【6】人件費の計画
Ⅳ 経理・財務の統合
【1】経理・財務統合の意義
【2】経理・財務の統合の注意点
Ⅴ IT システムの統合
【1】IT システム統合の意義
【2】IT システム統合の手順
【3】IT システムの統合の注意点
参考文献