手錠腰縄による被疑者・被告人の拘束 人権保障の視点から考える

販売価格: 2,970円 税込
- 数量
日本の刑事法廷においては、被告人が手錠腰縄の姿のまま入廷してくる。これは明治時代から現在まで変わらない光景である。なぜ無罪を推定される被告人が、「罪人」のように手錠腰縄の姿で法廷に引き立てられているのか。それに疑問をもった弁護士が、その廃止のために国賠訴訟を起こし、その問題点を指摘。本書は、日本における手錠腰縄の歴史、手錠腰縄に関する法規、諸外国の事情、手錠腰縄国賠訴訟の成果などを収録し、個人の尊厳と無罪推定の権利を踏みにじる手錠腰縄による拘束を廃止するために、弁護人や法曹関係者は何をなすべきかを提言する。
〇目 次
はじめに
第1章 手錠腰縄による人身拘束の日本の文化的な土壌
1.はじめに
2.「戒具」は、古くから犯罪人のために用いられた
3.監獄法が制定されて戒具の使用が全国的に統一を見た
4.犯罪人は「市中引回し」というイメージの残存
第2章 大日本帝国憲法下における手錠腰縄の規定
1.はじめに
2.2つの規定
3.手錠腰縄規定は日本国憲法の制定後も監獄法で継続
第3章 日本国憲法下における手錠腰縄の規定
1.はじめに
2.手錠腰縄に関連する3つの規定
3.法廷における被告人の身体不拘束の原則(刑訴法287条)
4.刑務官の護送による手錠腰縄の使用(刑事収容施設法78条)
5.日本の裁判官の「ドグマ」というべき欠陥
第4章 留置場から法廷にまで及ぶ手錠腰縄の人身拘束の実態――逮捕から控訴審の判決まで
1.はじめに
2.代用監獄はどんなところなのか
3.死刑再審4事件のケース
4.逮捕から留置場に収容されるまでの戒具の使用
5.留置場内における手錠腰縄の使用
6.留置場から取調べを受け房に帰るまでの戒具の使用
7.被疑者が監外に出て裁判所の法廷に向かうまでの戒具の使用
8.手錠腰縄の入廷は「適正な公開裁判」といえるか
9.なぜ日本国憲法制定後、法廷における手錠腰縄が問題にならなかったのか
10.裁判官は逮捕から判決までの戒具使用の実態を理解しようと努力したことがあるか
第5章 公道における「市中引回し」での戒具の使用と人権侵害――大阪弁護士会人権擁護委員会の人権侵害「警告」等と京都地裁・白井万久裁判官の法廷訴訟指揮
1.はじめに
2.大阪弁護士会人権擁護委員会の人権侵害申立事件(その1)――大阪地方裁判所所長に対する要望書
3.大阪弁護士会人権擁護委員会の人権侵害申立事件(その2)――大阪府警本部・豊中警察署・豊中区検察庁に対する警告書
4.白井万久裁判長の訴訟指揮と最高裁判所・法務省通知等
第6章 病院廊下を手錠腰縄のまま連行された人権侵害――人間の誇り・人間らしく生きる権利を認める判決
1.はじめに
2. 問題の所在
3.検察官室における手錠腰縄の被疑者に対する取調べ
4.大阪地裁1995年判決(「人間の誇り、人間らしく生きる権利」)
5.大阪地裁1995年判決の意義
第7章 職業裁判官制度下での裁判員裁判における手錠腰縄
1.はじめに
2.裁判員裁判の限界
3.裁判員裁判と手錠腰縄
4.裁判員裁判と法廷における手錠等の使用についての通知
5.手錠等の事前解錠の手順
6.通知の欠陥
第8章 青砥(出廷拒否)事件
1.はじめに
2.事件の概要
3.大阪地裁による措置請求と大阪弁護士会の対応
4.楠本学氏の大阪弁護士会への人権侵害の申立て
第9章 大阪司法事務協議会での法廷における手錠腰縄の取扱いに関する提案
1.司法事務協議会の約70年の開催の経緯(1954年から現在まで)
2.大阪弁護士会による初めての法廷における手錠腰縄に関する提案と裁判所等の対応
3.大阪弁護士会の2019(令和元)年度提案
4.大阪弁護士会の2020(令和2)年度提案
第10章 法廷における手錠腰縄の人身拘束と憲法13条
1.はじめに
2.憲法13条の規定(個人の尊厳の尊重)
3.世界における人間の尊厳の規定
4.憲法13条と国際自由権規約7条「品位を辱める取扱い」の関係
第11章 憲法31条「適正手続の保障」と手錠腰縄問題――被告人の防禦の権利と法廷における手錠腰縄
1.法廷における手錠腰縄と被告人の防禦の権利
2.防禦する権利から導き出す手錠腰縄に晒されないで出廷する権利・法廷における手錠腰縄したまま晒されない権利
第12章 国際自由権規約と法廷における手錠腰縄――国際人権条約は国内法であり裁判官は法的に拘束される
1.はじめに
2.国内法としての国際人権規約―憲法より下位規範、法律より上位規範
3.B規約(7条、10条)に基づく法理
4.B規約14条2項(無罪の推定を受ける権利)
第13章 はじめて法廷における手錠腰縄問題を争った京都地裁国賠訴訟
1.はじめに
2.N氏の主張
3.京都地裁判決の要旨
4.国賠訴訟提起に至るまでの経緯
第14章 憲法13条の人格権侵害を認めた大阪地裁2019年判決
1.はじめに
2.個人の尊厳の侵害を認めた判決理由
3.1993(平成5)年・最高裁通達(書簡)による運用の改善
4.大阪地裁2019年判決によるその他の争点
5.大阪地裁2019年判決における欠陥のまとめ
6.京都地裁・大阪高裁における国賠訴訟判決と大阪地裁2019年判決との比較検討
7.京都地裁・大阪高裁と大阪地裁2019年判決の争点ごとの判示の検討
第15章 法廷における手錠腰縄の廃止に向けての運動の拡がり
1.はじめに
2.大阪弁護士会に法廷内手錠腰縄問題プロジェクトチーム発足
3.大阪弁護士会シンポジウム
4.近畿弁護士会連合大会と同連合会人権擁護委員会によるシンポジウム
5.大阪地裁2019年判決にもとづく最高裁通達(書簡)の活用
6.日本弁護士連合会の取組み
7.新聞関係による報道
第16章 廃止の潮流にある法廷における手錠腰縄の人身拘束 ──最高裁判所・法務省・日本弁護士連合会に対する手錠腰縄につき政策提言
1.はじめに
2.求められる法務省、最高裁の韓国実情調査
3.日弁連人権擁護大会のテーマにして弁護士の関心を高めることが急務
【資料1】 京都地方裁判所平成28年(ワ)第815号損害賠償請求訴訟に関する意見書(里見佳香)
【資料2】 韓国での法廷内の被告人に対する身柄拘束の状況(西川満喜)
【資料3】 大阪地裁2019年判決(令和元年5月27日)〔全文〕
【資料4】 手錠腰縄問題に関する新聞報道
おわりに
著者の実務経験一覧
著者プロフィール
〇目 次
はじめに
第1章 手錠腰縄による人身拘束の日本の文化的な土壌
1.はじめに
2.「戒具」は、古くから犯罪人のために用いられた
3.監獄法が制定されて戒具の使用が全国的に統一を見た
4.犯罪人は「市中引回し」というイメージの残存
第2章 大日本帝国憲法下における手錠腰縄の規定
1.はじめに
2.2つの規定
3.手錠腰縄規定は日本国憲法の制定後も監獄法で継続
第3章 日本国憲法下における手錠腰縄の規定
1.はじめに
2.手錠腰縄に関連する3つの規定
3.法廷における被告人の身体不拘束の原則(刑訴法287条)
4.刑務官の護送による手錠腰縄の使用(刑事収容施設法78条)
5.日本の裁判官の「ドグマ」というべき欠陥
第4章 留置場から法廷にまで及ぶ手錠腰縄の人身拘束の実態――逮捕から控訴審の判決まで
1.はじめに
2.代用監獄はどんなところなのか
3.死刑再審4事件のケース
4.逮捕から留置場に収容されるまでの戒具の使用
5.留置場内における手錠腰縄の使用
6.留置場から取調べを受け房に帰るまでの戒具の使用
7.被疑者が監外に出て裁判所の法廷に向かうまでの戒具の使用
8.手錠腰縄の入廷は「適正な公開裁判」といえるか
9.なぜ日本国憲法制定後、法廷における手錠腰縄が問題にならなかったのか
10.裁判官は逮捕から判決までの戒具使用の実態を理解しようと努力したことがあるか
第5章 公道における「市中引回し」での戒具の使用と人権侵害――大阪弁護士会人権擁護委員会の人権侵害「警告」等と京都地裁・白井万久裁判官の法廷訴訟指揮
1.はじめに
2.大阪弁護士会人権擁護委員会の人権侵害申立事件(その1)――大阪地方裁判所所長に対する要望書
3.大阪弁護士会人権擁護委員会の人権侵害申立事件(その2)――大阪府警本部・豊中警察署・豊中区検察庁に対する警告書
4.白井万久裁判長の訴訟指揮と最高裁判所・法務省通知等
第6章 病院廊下を手錠腰縄のまま連行された人権侵害――人間の誇り・人間らしく生きる権利を認める判決
1.はじめに
2. 問題の所在
3.検察官室における手錠腰縄の被疑者に対する取調べ
4.大阪地裁1995年判決(「人間の誇り、人間らしく生きる権利」)
5.大阪地裁1995年判決の意義
第7章 職業裁判官制度下での裁判員裁判における手錠腰縄
1.はじめに
2.裁判員裁判の限界
3.裁判員裁判と手錠腰縄
4.裁判員裁判と法廷における手錠等の使用についての通知
5.手錠等の事前解錠の手順
6.通知の欠陥
第8章 青砥(出廷拒否)事件
1.はじめに
2.事件の概要
3.大阪地裁による措置請求と大阪弁護士会の対応
4.楠本学氏の大阪弁護士会への人権侵害の申立て
第9章 大阪司法事務協議会での法廷における手錠腰縄の取扱いに関する提案
1.司法事務協議会の約70年の開催の経緯(1954年から現在まで)
2.大阪弁護士会による初めての法廷における手錠腰縄に関する提案と裁判所等の対応
3.大阪弁護士会の2019(令和元)年度提案
4.大阪弁護士会の2020(令和2)年度提案
第10章 法廷における手錠腰縄の人身拘束と憲法13条
1.はじめに
2.憲法13条の規定(個人の尊厳の尊重)
3.世界における人間の尊厳の規定
4.憲法13条と国際自由権規約7条「品位を辱める取扱い」の関係
第11章 憲法31条「適正手続の保障」と手錠腰縄問題――被告人の防禦の権利と法廷における手錠腰縄
1.法廷における手錠腰縄と被告人の防禦の権利
2.防禦する権利から導き出す手錠腰縄に晒されないで出廷する権利・法廷における手錠腰縄したまま晒されない権利
第12章 国際自由権規約と法廷における手錠腰縄――国際人権条約は国内法であり裁判官は法的に拘束される
1.はじめに
2.国内法としての国際人権規約―憲法より下位規範、法律より上位規範
3.B規約(7条、10条)に基づく法理
4.B規約14条2項(無罪の推定を受ける権利)
第13章 はじめて法廷における手錠腰縄問題を争った京都地裁国賠訴訟
1.はじめに
2.N氏の主張
3.京都地裁判決の要旨
4.国賠訴訟提起に至るまでの経緯
第14章 憲法13条の人格権侵害を認めた大阪地裁2019年判決
1.はじめに
2.個人の尊厳の侵害を認めた判決理由
3.1993(平成5)年・最高裁通達(書簡)による運用の改善
4.大阪地裁2019年判決によるその他の争点
5.大阪地裁2019年判決における欠陥のまとめ
6.京都地裁・大阪高裁における国賠訴訟判決と大阪地裁2019年判決との比較検討
7.京都地裁・大阪高裁と大阪地裁2019年判決の争点ごとの判示の検討
第15章 法廷における手錠腰縄の廃止に向けての運動の拡がり
1.はじめに
2.大阪弁護士会に法廷内手錠腰縄問題プロジェクトチーム発足
3.大阪弁護士会シンポジウム
4.近畿弁護士会連合大会と同連合会人権擁護委員会によるシンポジウム
5.大阪地裁2019年判決にもとづく最高裁通達(書簡)の活用
6.日本弁護士連合会の取組み
7.新聞関係による報道
第16章 廃止の潮流にある法廷における手錠腰縄の人身拘束 ──最高裁判所・法務省・日本弁護士連合会に対する手錠腰縄につき政策提言
1.はじめに
2.求められる法務省、最高裁の韓国実情調査
3.日弁連人権擁護大会のテーマにして弁護士の関心を高めることが急務
【資料1】 京都地方裁判所平成28年(ワ)第815号損害賠償請求訴訟に関する意見書(里見佳香)
【資料2】 韓国での法廷内の被告人に対する身柄拘束の状況(西川満喜)
【資料3】 大阪地裁2019年判決(令和元年5月27日)〔全文〕
【資料4】 手錠腰縄問題に関する新聞報道
おわりに
著者の実務経験一覧
著者プロフィール