最新青林法律相談54 解雇・退職勧奨・雇止めの法律相談I
販売価格: 4,400円 税込
- 著者
- 浅井 隆・編著 西頭英明/ 柏戸夏子/友永隆太/荒井 徹・著
- 発行元
- 青林書院
- 発刊日
- 2025-11-07
- ISBN
- 978-4-417-01900-8
- CD-ROM
- 無し
- サイズ
- A5判 (298ページ)
労働契約の終了における「有効」・「無効」判断の分岐点とは
最新裁判例の中から判断が分かれた参考事例を抽出!
労働契約終了の判断において重視された「事実」を分析!
「有効」判断の獲得に役立つ「実務上のポイント」を詳解!
■書籍内容
第1章 普通解雇
Q 1■ 解雇等の主張・立証責任
当社では、正社員に問題社員がいるので退職させたいのですが、解雇は、民法上は
自由にできると聞いているので、その問題社員に退職を求め、退職しないときは解
雇したいのですが、問題はないでしょうか。
Q 2■ 労働契約終了通知への対応
当社は、採用したXを、試用期間を経過して本採用としたのですが、労働契約を継
続することはできないと考え、30日予告を内容とする「労働契約終了通知書」を渡
しました。
Xはこれを解雇なのか、解雇だとして懲戒解雇なのか普通解雇なのか説明を求めて
きました。どう対応したらよいのでしょうか。
Q 3■ 当該契約が労働契約か否かの判断① ― 労働者性の判断
当社は、アロマテラピー店・飲食店等を経営目的とする会社ですが、その店員とし
て働く契約をXとし、その際、時給の説明はせず、ただ、働く中で毎月渡す明細に
、「1200」「68.0h」「81600」と記載し、加えて、飲食する客から注文されるたび
にいくらかの割合の金銭を支払っていました。
当社としては、Xとの契約を労働契約とは考えていませんでした。ただ、支払いは
、月末締めで翌月15日前後に手渡していました。
その中で、当社は、Xとの契約を一方的に打ち切ったところ、Xは労働契約である
と主張してきました。どう対応したらよいでしょうか。
Q 4■ 当該契約が労働契約か否かの判断② ― 取締役就任者
当社はいわゆる中小企業なのですが、当社で平成16(2004)年2月4日雇用され、平
成28(2016)年4月15日取締役に就任後、平成31(2019)年2月28日取締役に再任さ
れなかったXが、平成28(2016)年4月15日取締役に就任以降でも雇用契約は存続
しており、平成31(2019)年2月28日取締役に再任されなかったとしても、雇用契
約のほうはいまだ存続しているとして、当社に対し賃金請求をしてきています。
当社では、取締役就任によって雇用契約は消滅したと考えているのですが、間違
っているでしょうか。
Q 5■ 当該契約が取締役身分(委任契約)だけの場合の解任
当社は、取締役に選任した者を解任したいと判断した場合、どういう点に注意を
したらよいでしょうか。
Q 6■ 労働契約の使用者性の判断① ― 権利能力なき社団
我がY政党には、法人格のあるY政党の下に、県組織の埼玉県委員会、県内の地区
組織の西部地区委員会がありました。この西部地区委員会がXを採用し、Xに働い
てもらい賃金も支払っていました。
その後、Xは、西部地区委員会に退職届を提出しました。ところが、Xは、退職届
を強制的に書かされたとして法人格のあるY政党を被告にして地位確認等の訴訟を
提起してきました。
Y政党(法人)は、Xの請求を受けなければならないでしょうか。
Q 7■ 労働契約の使用者性の判断② ― 事業譲渡の場合
当社は、セキュリティに関する機器の開発及び販売等を目的とする会社ですが、事
業のうち、ネットワークセキュリティ事業の販売部門を新設分割の方法で譲渡(そ
れで設立されたのがY社)しました。
ところが、当社は業績不振となり破産申立てをし、それに伴い従業員を全員解雇し
ました。他方、Y社は、存続しています。
この場合、解雇された従業員がY社に対し、〔A〕法人格否認の法理、ないし〔B〕
黙示の(労働契約を含む事業の)承継の主張をすることで、Y社との雇用を主張し
てきました。
認められる可能性はどれだけあるのでしょうか。
Q 8■ 解雇撤回後の出勤命令拒否
当社では、職場離脱行為を繰り返してきたXに対し、令和4(2022)年4月4日、同
年5月3日をもって解雇する旨通知したのですが、Xが代理人弁護士を通じて解雇
無効の主張をしてきたため、解雇紛争を回避すべく、5月10日、解雇を撤回するの
で12日より本社へ出勤するよう命令し、ただ、上記非違行為につき、懲戒手続を
開始する旨の通知をしました。
ところが、Xは、復帰するに際し、条件を付けてきてこの条件を満たさない限り復
帰しない、として出勤命令を拒否しています。
現在の事態において、どのように対応したらよいでしょうか。
Q 9■ 解雇を撤回しても会社が(不法行為に基づく)損害賠償義務を負うとき
当社(Y社)は、平成17(2005)年4月雇用したXを平成29(2017)年7月西日本担
当マネージャーにしたところ、他方で同年₉月入社の東日本担当のマネージャーBを
平成30(2018)年4月にナショナル(日本)マネージャー、平成31(2019)年1月に
ゼネラルマネージャーにすると、XはBからパワハラを受けていると主張しました
。これに対し当社は、Xを令和2(2020)年11月13日解雇しました。
するとXは、令和3(2021)年3月10日解雇を無効として訴訟提起したので、当社は
、解雇紛争を回避すべく、同年11月30日解雇を撤回したうえ、翌12月1日より自宅
待機命令を発令し、現在(翌令和4(2022)年11月8日)まで続けています。ただ、
賃金は解雇撤回日以降現在まで支払っています。
Xは、当該解雇までと撤回後のBのパワハラ及び自宅待機状態について損害賠償請
求してきています。支払わなければならないでしょうか。
Q10■ 試用期間①― 新卒社員の本採用拒否
2か月前に入社したばかりの新卒正社員採用の新入社員について、現在試用期間中
ですが、何度注意指導をしても基本的なミスを繰り返しています。注意に対して反
発はなく、メモを取るなどして努力はしているようですが、一向に仕事は覚えず、
ミスも減らない状況で困っています。内勤ということもあり、現時点では顧客に対
して迷惑をかけることにはなっていませんが、他部署からはクレームがくるなども
あって社内では支障も出ています。このような状況では、他部署に異動させること
も難しいので、試用期間満了時に解雇(本採用拒否)をしたいと考えています。
試用期間中の解雇は、通常よりも解雇しやすいと聞いていますし、解雇は可能と考
えてよいでしょうか。
Q11■ 試用期間② ― 試用期間延長
最近入社した試用期間中の社員について、今すぐにでも解雇を検討しなければなら
ないほどではありませんが、パフォーマンスが芳しくありません。当社の就業規則
には、試用期間延長についての定めはありませんが、本採用をするには不安があり
、念のため試用期間を延長してもう少し様子を見たいと考えています。
試用期間延長後もパフォーマンスに改善がないようであれば、解雇を検討せざるを
得ないと考えていますが、仮に解雇をする場合、試用期間中の解雇(留保解約権の
行使)として、本採用後の普通解雇に比べれば、緩やかな判断になると理解してよ
いでしょうか。
Q12■ 試用期間③ ― 試用期間途中での解雇(無効)
1週間前に入社し、現在試用期間中の社員について、新入社員ということで業務負
荷を軽くしているにもかかわらず、経験がないことを踏まえても考えられない単純
なミスを連発しており、フォローをしなければならない周囲にも少なからずしわ寄
せがいっている状況です。
経験が浅く不慣れであることを考慮しても、この業務への適性がないと判断せざる
を得ず、他に担当してもらえる業務もありません。
試用期間満了まで見ても、結果は変わらないと思いますので、重大な事故等が起き
る前に、できるだけ早いうちに解雇したいのですが、可能でしょうか。
Q13■ 試用期間④ ― 試用期間途中での解雇(有効)
現在試用期間中の労働者について、送料の取扱いや価格表示の誤記載、注文書の同
封漏れなどの初歩的なミスを多発し、指導担当者が都度注意をしても一向に改善し
ません。当該労働者のミスにより、一部の顧客からは注文が来なくなるなどの損害
最新裁判例の中から判断が分かれた参考事例を抽出!
労働契約終了の判断において重視された「事実」を分析!
「有効」判断の獲得に役立つ「実務上のポイント」を詳解!
■書籍内容
第1章 普通解雇
Q 1■ 解雇等の主張・立証責任
当社では、正社員に問題社員がいるので退職させたいのですが、解雇は、民法上は
自由にできると聞いているので、その問題社員に退職を求め、退職しないときは解
雇したいのですが、問題はないでしょうか。
Q 2■ 労働契約終了通知への対応
当社は、採用したXを、試用期間を経過して本採用としたのですが、労働契約を継
続することはできないと考え、30日予告を内容とする「労働契約終了通知書」を渡
しました。
Xはこれを解雇なのか、解雇だとして懲戒解雇なのか普通解雇なのか説明を求めて
きました。どう対応したらよいのでしょうか。
Q 3■ 当該契約が労働契約か否かの判断① ― 労働者性の判断
当社は、アロマテラピー店・飲食店等を経営目的とする会社ですが、その店員とし
て働く契約をXとし、その際、時給の説明はせず、ただ、働く中で毎月渡す明細に
、「1200」「68.0h」「81600」と記載し、加えて、飲食する客から注文されるたび
にいくらかの割合の金銭を支払っていました。
当社としては、Xとの契約を労働契約とは考えていませんでした。ただ、支払いは
、月末締めで翌月15日前後に手渡していました。
その中で、当社は、Xとの契約を一方的に打ち切ったところ、Xは労働契約である
と主張してきました。どう対応したらよいでしょうか。
Q 4■ 当該契約が労働契約か否かの判断② ― 取締役就任者
当社はいわゆる中小企業なのですが、当社で平成16(2004)年2月4日雇用され、平
成28(2016)年4月15日取締役に就任後、平成31(2019)年2月28日取締役に再任さ
れなかったXが、平成28(2016)年4月15日取締役に就任以降でも雇用契約は存続
しており、平成31(2019)年2月28日取締役に再任されなかったとしても、雇用契
約のほうはいまだ存続しているとして、当社に対し賃金請求をしてきています。
当社では、取締役就任によって雇用契約は消滅したと考えているのですが、間違
っているでしょうか。
Q 5■ 当該契約が取締役身分(委任契約)だけの場合の解任
当社は、取締役に選任した者を解任したいと判断した場合、どういう点に注意を
したらよいでしょうか。
Q 6■ 労働契約の使用者性の判断① ― 権利能力なき社団
我がY政党には、法人格のあるY政党の下に、県組織の埼玉県委員会、県内の地区
組織の西部地区委員会がありました。この西部地区委員会がXを採用し、Xに働い
てもらい賃金も支払っていました。
その後、Xは、西部地区委員会に退職届を提出しました。ところが、Xは、退職届
を強制的に書かされたとして法人格のあるY政党を被告にして地位確認等の訴訟を
提起してきました。
Y政党(法人)は、Xの請求を受けなければならないでしょうか。
Q 7■ 労働契約の使用者性の判断② ― 事業譲渡の場合
当社は、セキュリティに関する機器の開発及び販売等を目的とする会社ですが、事
業のうち、ネットワークセキュリティ事業の販売部門を新設分割の方法で譲渡(そ
れで設立されたのがY社)しました。
ところが、当社は業績不振となり破産申立てをし、それに伴い従業員を全員解雇し
ました。他方、Y社は、存続しています。
この場合、解雇された従業員がY社に対し、〔A〕法人格否認の法理、ないし〔B〕
黙示の(労働契約を含む事業の)承継の主張をすることで、Y社との雇用を主張し
てきました。
認められる可能性はどれだけあるのでしょうか。
Q 8■ 解雇撤回後の出勤命令拒否
当社では、職場離脱行為を繰り返してきたXに対し、令和4(2022)年4月4日、同
年5月3日をもって解雇する旨通知したのですが、Xが代理人弁護士を通じて解雇
無効の主張をしてきたため、解雇紛争を回避すべく、5月10日、解雇を撤回するの
で12日より本社へ出勤するよう命令し、ただ、上記非違行為につき、懲戒手続を
開始する旨の通知をしました。
ところが、Xは、復帰するに際し、条件を付けてきてこの条件を満たさない限り復
帰しない、として出勤命令を拒否しています。
現在の事態において、どのように対応したらよいでしょうか。
Q 9■ 解雇を撤回しても会社が(不法行為に基づく)損害賠償義務を負うとき
当社(Y社)は、平成17(2005)年4月雇用したXを平成29(2017)年7月西日本担
当マネージャーにしたところ、他方で同年₉月入社の東日本担当のマネージャーBを
平成30(2018)年4月にナショナル(日本)マネージャー、平成31(2019)年1月に
ゼネラルマネージャーにすると、XはBからパワハラを受けていると主張しました
。これに対し当社は、Xを令和2(2020)年11月13日解雇しました。
するとXは、令和3(2021)年3月10日解雇を無効として訴訟提起したので、当社は
、解雇紛争を回避すべく、同年11月30日解雇を撤回したうえ、翌12月1日より自宅
待機命令を発令し、現在(翌令和4(2022)年11月8日)まで続けています。ただ、
賃金は解雇撤回日以降現在まで支払っています。
Xは、当該解雇までと撤回後のBのパワハラ及び自宅待機状態について損害賠償請
求してきています。支払わなければならないでしょうか。
Q10■ 試用期間①― 新卒社員の本採用拒否
2か月前に入社したばかりの新卒正社員採用の新入社員について、現在試用期間中
ですが、何度注意指導をしても基本的なミスを繰り返しています。注意に対して反
発はなく、メモを取るなどして努力はしているようですが、一向に仕事は覚えず、
ミスも減らない状況で困っています。内勤ということもあり、現時点では顧客に対
して迷惑をかけることにはなっていませんが、他部署からはクレームがくるなども
あって社内では支障も出ています。このような状況では、他部署に異動させること
も難しいので、試用期間満了時に解雇(本採用拒否)をしたいと考えています。
試用期間中の解雇は、通常よりも解雇しやすいと聞いていますし、解雇は可能と考
えてよいでしょうか。
Q11■ 試用期間② ― 試用期間延長
最近入社した試用期間中の社員について、今すぐにでも解雇を検討しなければなら
ないほどではありませんが、パフォーマンスが芳しくありません。当社の就業規則
には、試用期間延長についての定めはありませんが、本採用をするには不安があり
、念のため試用期間を延長してもう少し様子を見たいと考えています。
試用期間延長後もパフォーマンスに改善がないようであれば、解雇を検討せざるを
得ないと考えていますが、仮に解雇をする場合、試用期間中の解雇(留保解約権の
行使)として、本採用後の普通解雇に比べれば、緩やかな判断になると理解してよ
いでしょうか。
Q12■ 試用期間③ ― 試用期間途中での解雇(無効)
1週間前に入社し、現在試用期間中の社員について、新入社員ということで業務負
荷を軽くしているにもかかわらず、経験がないことを踏まえても考えられない単純
なミスを連発しており、フォローをしなければならない周囲にも少なからずしわ寄
せがいっている状況です。
経験が浅く不慣れであることを考慮しても、この業務への適性がないと判断せざる
を得ず、他に担当してもらえる業務もありません。
試用期間満了まで見ても、結果は変わらないと思いますので、重大な事故等が起き
る前に、できるだけ早いうちに解雇したいのですが、可能でしょうか。
Q13■ 試用期間④ ― 試用期間途中での解雇(有効)
現在試用期間中の労働者について、送料の取扱いや価格表示の誤記載、注文書の同
封漏れなどの初歩的なミスを多発し、指導担当者が都度注意をしても一向に改善し
ません。当該労働者のミスにより、一部の顧客からは注文が来なくなるなどの損害