慶應義塾大学法学研究会叢書 司法的憲法 漸進的司法積極主義

慶應義塾大学法学研究会叢書 司法的憲法 漸進的司法積極主義

販売価格: 6,600円 税込

著者
大林啓吾・著
発行元
慶應義塾大学出版会
発刊日
2026-06-10
ISBN
978-4-7664-3118-6
CD-ROM
無し
サイズ
A5判上製 (305ページ)
憲法主導権を握るのは誰か

諸々の分断に苛まれるアメリカ。
司法にも党派的分断の疑いがかかる。
いかにして法の支配を維持するのか。
自己裁量統制の裏に潜む司法の思惑とは。
パワーゲームに翻弄されながらもしたたかな
憲法戦略を実践する司法の姿を描き出す。
現在のアメリカは深刻な政治的分断に苛まれている。「憲法的ハードボール」と呼ばれる強硬手段の応酬によって、連邦最高裁の判断にも強い党派性の疑いが向けられている。民主的正当性に欠ける司法は、いかにして法の支配を維持するのか。最高裁は「司法ミニマリズム」や「歴史と伝統のテスト」といった自己抑制や自己裁量統制の体裁をとりつつも、「シャドードケット(緊急決定)」を多用し、他権力の権限を減殺し自らに権力を集中させる思惑が潜んでいる。パワーゲームの中で、憲法価値を実現する「漸進的司法積極主義」という、したたかな憲法戦略を実践する司法の姿を描き出す。

目次
はじめに

序 章 前提状況
1 連邦最高裁の現在
2 ロバーツコートとロバーツ長官のマネジメント

第1章 司法をめぐる政治状況

Ⅰ 「司法と政治」の意味
1 法と政治/2 司法政治/3 司法と政治
Ⅱ 連邦最高裁裁判官数の変容
1 任命プロセス/2 裁判官数の変遷
Ⅲ コートパッキングの試み
1 唯一の成功例/2 ニューディール期コートパッキング/3 バイデン政権における連邦最高裁改革プラン
Ⅳ 事実上の問題と憲法上の問題
1 事実上の問題/2 憲法上の問題/3 憲法的ハードボール
後序

第2章 潜在的司法積極主義――シャドードケットの活用

Ⅰ シャドードケット
1 シャドードケットの意味/2 シャドードケットの増加/3 シャドードケットの法制度/4 シャドードケットの実例
Ⅱ トランプ政権の活用
1 入国禁止命令/2 新型コロナ禍の選挙/3 新型コロナ禍の信教の自由
Ⅲ トランプ政権後の継続
1 移民/2 新型コロナ関係/3 2024年選挙
Ⅳ シャドードケットをめぐる問題
1 下院司法委員会の公聴会/2 実際の問題――連邦最高裁における相違/3 上院司法委員会の公聴会
Ⅴ シャドードケットの功罪
1 シャドードケットのメリットとデメリット/2 緊急差止または緊急停止を認める要件/3 シャドードケットの先例拘束性/4 シャドードケットと公正な判断/5 シャドードケットのゆくえ
後序

第3章 内在的動揺

Ⅰ 揺れる司法
1 問題の所在/2 政治的分断と司法/3 司法判断後の反発
Ⅱ 3つの権威
1 憲法条文/2 先例拘束/3 審査基準
Ⅲ 揺らぎ
1 原理間の衝突/2 原意と先例/3 判例変更の基準の重要性
後序

第4章 裁量統制

Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 歴史と伝統のテスト
1 背景/2 経緯/3 歴史と伝統のテストの定式化/4 歴史と伝統のテストの動揺/5 歴史と伝統のテストの確立/6 射程の拡大/7 歴史と伝統のテストと裁量統制
Ⅲ 主要問題の法理
1 主要問題の法理の萌芽/2 主要問題の法理の確立/3 主要問題の法理と裁量統制/4 主要問題の法理の位置付け
Ⅳ 法解釈的統制
1 シェブロン法理の放棄/2 司法による行政裁量統制の是非
Ⅴ 不当性審査
1 不当性審査の萌芽/2 不当性審査の登場/3 不当性審査の是非
Ⅵ 裁量統制の性格
1 消極的側面/2 積極的側面
後序

第5章 司法権力の拡大

Ⅰ 司法帝国
1 帝王的司法/2 2024年大統領選挙をめぐる2つの裁判
Ⅱ 司法の権力拡大――制度利益モデルと権力拡大効果モデル
1 権力分立から権力集中へ/2 司法の権力集中――Judicial Aggrandizement/3 司法の権力集中の意味
後序――漸進的司法積極主義に向けて

おわりに
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