判例タイムズNo.1477 刑事租税事件の審理上の留意点

販売価格: 3,000円 税込
- 数量
目次
判例タイムズ1477号 12月号(2020年11月25日発売)
論文目次
刑事租税事件の審理上の留意点
増田啓祐・棚村治邦・水谷翔……5
判例目次
■最高裁判例
行政|
最高裁第三小法廷令2.7.14判決
複数の公務員が国又は公共団体に対して連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負う場合……19
民事|
最高裁第三小法廷令2.4.7判決
強制執行の申立てをした債権者が債務者に対する不法行為に基づく損害賠償請求において当該強制執行に要した費用のうち民事訴訟費用等に関する法律2条各号に掲げられた費目のものを損害として主張することの許否……25
最高裁第二小法廷令2.3.6判決
中間省略登記の方法による不動産の所有権移転登記の申請の委任を受けた司法書士に,当該登記の中間者との関係において,当該司法書士に正当に期待されていた役割の内容等について十分に審理することなく,直ちに注意義務違反があるとした原審の判断に違法があるとされた事例……30
■下級審判例
高裁判例
民事|
東京高裁令2.6.29判決
原告の逮捕歴を記載したインターネット上のウェブサイトへの投稿記事の削除を当該ウェブサイトを運営するプラットフォーマーを被告として請求した事案について,事実を公表されない法的利益が投稿記事を一般の閲覧に供し続ける理由に関する諸事情よりも優越することが明らかであるとはいえないとして,削除請求が棄却された事例……44
札幌高裁令2.2.6判決
韓国人従軍慰安婦に関する新聞記事の内容が捏造されたものであるとして記事を執筆した記者を批判する論文を執筆したジャーナリストについて,摘示事実が真実であると信じたことに相当な理由があるとして,名誉毀損による不法行為の成立が否定された事例……48
大阪高裁令元.11.6判決
被控訴人(第1審原告)が,一般社団法人である控訴人(第1審被告)の監事選任決議について,決議方法に法令違反又は定款違反の瑕疵があると主張して,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律266条1項に基づき決議の取消しを求め,原審が請求を認容する判決の後,控訴人が改めて当該監事を選任する旨の総会決議をした事案において,本件訴えの利益を失わない特別の事情があるとされた事例……93
民事|(家事事件)
福岡高裁令元.10.29決定
別居中の妻である相手方が,夫である抗告人に対し,当事者間の子である未成年者らの監護者の指定及び引渡しを求めた事案において,これまでの監護実績に明らかな差はないところ,未成年者らが,父母の同居中の住居と同じ校区内で就学するなど従前からの生活環境によく適応していること,抗告人の監護能力と未成年者らとの関係に問題は見受けられず,未成年者らと相手方との面会交流も安定的に実施されていること等の事情を考慮すれば,未成年者らにとっては,現状の生活環境を維持した上で,県外の実家に転居した相手方との面会交流の充実を図ることが最もその利益に適うなどとして,相手方の申立てをいずれも却下した事例……97
刑事|
東京高裁令元.12.5判決
1 統合失調症の影響で弁護人との意思疎通が困難な状態にあり,原審公判廷において趣旨不明の不規則発言をし,被告人質問における発言も断片的であったり,意味不明であったりするものが大半であった被告人の訴訟能力に関し,原審において精神鑑定を行った医師の意見や被告人の公判廷における言動,弁護人の訴訟活動等(判文参照)を総合して検討し,被告人の防御権の行使に実質的な支障が生じていたとは認められず,弁護人からの適切な援助と裁判所の後見的役割により,なお訴訟能力を保持している状況にあったとして,公判手続を停止しなかった原審の訴訟手続に法令違反はないとした事例
2 3日間にわたり,3軒の民家に侵入し,家人合計6名を包丁で突き刺すなどして殺害した上,金品を強取し,4名の死体を隠匿遺棄した住居侵入,強盗殺人,死体遺棄の事案において,各金品強取の目的等を認めた原判決の判断は,精神鑑定により認定できる被告人の精神的な不穏状態(状況を誤って被害的に確信し,その誤った確信によって衝動的で突発的な行動をする状態)を十分に検討していない点で不合理であるが,結論は是認できるとしたものの,完全責任能力を認めた原判決の判断については,動機の形成過程が了解可能なものであるか否かは,精神障害が犯行に及ぼした影響をみる上で重要な考慮要素と考えられるのに,それを捨象するという誤った判断枠組みに基づき,本件各犯行の動機やその形成過程,犯行の合目的性の認定及び評価を誤り,ひいては原審における精神鑑定を正しく理解せずに判断するなど,不合理であるとした上で,被告人は,統合失調症による職場関係者やその者が差し向けた男から危害を加えられるなどという妄想や精神的な不穏状態に非常に大きく影響されていたが,これらに完全に支配されていたとまでは評価できないとして,心神耗弱の状態にあったと認めた事例……110
東京高裁令元.7.16判決
覚せい剤使用の事案において,被告人の陰部付近に薬物を隠匿しているのではないかと考えて,令状がないのに陰部付近の捜索を行い,続けざまに被告人に対してそのプライバシーや羞恥心への配慮を全く欠いたまま公道上でパンツを脱ぐように要求し,実際に被告人がパンツを脱ぐに至らせた上,これらの手続的な違法を糊塗するために,令状請求の疎明資料に,裁判官をして覚せい剤の隠匿の嫌疑に関する事実を誤解させる記載をして提出したもので(判文参照),令状主義の精神を没却する重大な違法があり,強制採尿手続により採取された被告人の尿の鑑定書は,違法収集証拠として証拠能力を否定すべきであるとして,原判決を破棄し,無罪を言い渡した事例……132
東京高裁平30.11.15判決
単独犯と共同正犯の択一的認定により傷害致死罪の成立を認めた原判決を事実誤認により破棄して差し戻した事例……140
刑事|(少年事件)
東京高裁令2.1.20決定
少年が女児3名に対してわいせつな行為をしたという強制わいせつ保護事件において,少年を第1種少年院送致とした原決定につき,少年の抱える問題が根深いことや家庭の監護能力の乏しさを指摘しつつ,処分に著しい不当があるとは認められないとして,抗告を棄却した事例……145
地裁判例
行政|
東京地裁平30.9.19判決
死刑確定者と弁護士との面会につき職員を立ち会わせる措置をしてはならない旨の仮の差止めの決定がされた場合に拘置所長がその決定に従わなかったことが国家賠償法上違法であるとされた事例……147
東京地裁平30.1.24判決
遺産分割前に申告された相続税に係る更正処分に対する取消判決の,遺産分割後の更正の請求及び更正処分における拘束力……155
労働|
東京地裁平31.1.23判決
1 弁護士法人が法令違反行為を理由に所属弁護士会から懲戒処分を受け,労働者である弁護士に対し自宅待機命令を発した場合において,自宅待機期間中の労務提供の履行不能につき,当該弁護士法人に平成29年法律第44号による改正前の民法536条2項にいう「責めに帰すべき事由」があるとされた事例
2 労働者が自宅待機命令を応諾したなどの事情の下において,自宅待機期間中の賃金請求が信義則に反しないとされた事例……168
民事|
高松地裁令2.1.28判決
被告法人が運営する保育所に入所中の児童が,園庭に設置されていた雲梯のV字型開口部に頚部を挟まれて心肺停止状態となり,その後死亡した事故について,被告法人の不法行為責任を認める一方で,園長及び担任保育士個人の不法行為責任を否定した事例……178
京都地裁令元.10.1判決
施設に入所している原告から訴訟委任を受けたとする弁護士が原告訴訟代理人として提起した訴えにつき,原告訴訟代理人が原告本人の意思で訴訟委任を受けたとは認められないとして,当該訴えが却下された事例……191
東京地裁令元.5.31判決
金融機関による融資先を更生会社とする会社更生手続開始の申立て等について不法行為の成立が否定された事例……194
東京地裁平31.3.29判決
1 建築訴訟において建物の構造計算が問題となる場合に鑑定を実施した事例
2 設計監理の債務不履行責任に関する約款の除斥期間の定めの解釈と除斥期間の権利保存が問題とされた事例
3 設計に関する債務不履行責任と住宅の品質確保の促進等に関する法律94条1項の適用又は類推適用が問題とされた事例(消極)
4 設計業務を受託した一級建築士が設計業務の一部である構造設計を第三者に再委託等した場合の構造設計瑕疵についての不法行為責任の成否が問題とされた事例(積極)……211
東京地裁平31.3.13判決