骨太 実務現代刑事法(上)


販売価格: 4,950円 税込
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本書は,元東京高裁部総括判事であった植村立郎氏執筆の骨太シリーズの第三弾である。平成27年11月刊行の「骨太少年法講義」を皮切りに,平成29年10月には「骨太刑事訴訟法講義」を刊行,世に著してきた。今回の「骨太 実務現代刑事法」は,実務家である著者が,法曹会の月刊誌「法曹時報」などに掲載した論文をとりまとめた論文集である。著者によると「本書の特徴を挙げると,①本書の各論考の初出は平成11年から令和元年にわたっているが,刑事に限られているとはいえ,対象とした判例(裁判例も含めた趣旨である。)は同期間より前のものも数多く含まれているから,それだけ長期間にわたる,様々な分野の多数の判例及びその間の判例の動きを知ることができること,②ⅰ筆者が考える,これらの判例を踏まえた実務の動向,望まれる有り様,ⅱ筆者の実務家としての考え方を知ることができること,③第1章は,同章の「はじめに」の項で説明されているように,旧稿を発想の基礎としながらも,旧稿を大幅に修正・加筆したものとなっているが,それ以外は,旧稿を維持しつつ,適宜,その後の必要な情報を加筆・修正されているから,初出当時の情報だけでなく,その後の必要な情報も一体的に得ることができること,④本書は,筆者がそれぞれの判例に接して,或いは日頃の実務を行いながら思考・実践したことを内容としているから,読者において,ⅰ新たな判例に接したときに,この判例をどういった風に考え,受け止めたら良いか,ⅱ実務を行っていて疑問とする事項が生じて,その疑問をどういった形で解決するのが良いのか,などと実務家として思い悩む場面で,有益な示唆を様々に得ることができること,⑤ⅰ実務家にとっては,実務的な思考を味わうことができ,実務を担当する醍醐味,楽しみを再確認できること,ⅱ研究者にとっては,実務家が何を考え,どういったことに悩み,どう解決しているのか,といったことを垣間見ることができること,⑥本書は上下2巻と大部ではあるが,各章毎にテーマが異なるので,読者としては,自分の興味のある箇所から読み進めることができ,大部さは本書を読む支障とならないこと,などである。読者は,本書を読んだ後では,法曹・研究者等としての歩幅が広がり,足取りがより力強いものとなっていよう。」とのことである。実務家はもとより研究者や法曹に携わる多くの方々に手にとっていただきたい論文集である。
目 次 抜 粋(上)
第1章
事実認定能力,法的思考能力と,それらの伸ばし方
第1 はじめに
第2 説明の手法
第3 事実認定と事実認定能力
1 事実認定
2 事実認定能力
第4 法的思考と法的思考能力
1 法的思考
2 法的思考能力
第5 事実認定能力と法的思考能力の伸ばし方
1 両能力を合わせた説明
2 事実認定能力と法的思考能力の成長の有り様(段階的成長論)
3 両能力を伸ばす方法
4 伸ばす具体策
第6 おわりに
参考文献
第2章
実務現代刑事法(その1)
第1 はじめに
1 発表の内容・形態について
2 取り扱うテーマの概観
第2 控訴審の執務の私的断面
1 概 要
2 控訴審の執務の有り様の概観
3 控訴審における弁護活動について
4 検察官控訴事件について
5 第一審の審理の充実について
6 控訴審の審理の有り様について
7 控訴審の判決書について
8 控訴審における即決判決について
第3 原判決後における被告人の死亡について
1 事例紹介等
2 法403条について
3 被告人の死亡を理由とする弁護人の控訴について
4 控訴審に被告事件が係属中に被告人が死亡した場合の弁護人の対処について
第4 原判決後の刑の変更について
1 問題の所在
2 最高裁決定の紹介
3 全件破棄説への疑問
4 相対的控訴理由説について
5 最高裁決定の理解について
第5 今回のまとめ
資料1
資料2
実務現代刑事法(その2)
第1 はじめに
1 今回の発表の経緯
2 今回の検討の概要
第2 創造的判例概論
1 はじめに
2 裁判における確認的作用と創造的作用
3 裁判における確認的作用
4 裁判における創造的作用
5 確認的作用と創造的作用の共通性
第3 裁判における創造的作用の視点から見た共謀共同正犯
1 はじめに
2 創造的作用と共謀共同正犯
3 共同正犯の態様の多様性と,実行行為者のみを共同正犯者とすることの実務上の問題点
4 共謀共同正犯に関する若干の問題
第4 今回の小括
実務現代刑事法(その3)
第1 はじめに
1 発表の経緯
2 「刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」とは?
3 「刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」の内容は?
4 「刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」の発表の意図は?
第2 訴訟運営について
1 審理中のフットワークを良くしよう
2 自白事件の処理をより適正化しよう
第3 判決書について
1 判決はそれまでの訴訟運営全体の集大成であることを自覚しよう
2 主文について
3 事実認定について
4 証拠の標目について
5 補足説明について
6 「法令の適用」について
7 「量刑の理由」について
8 起案等と,その点検について
9 判決宣告期日の指定について
第4 書記官事務に強くなろう
1 意 義
2 書記官事務に強くなるには
3 書記官との「協働」の実効性を高めるには
4 その他
第5 高裁裁判官の執務について
1 3人構成を前提とした説明
2 基本的な心掛け
3 答弁書について
4 第一審の執務への指針の提示を念頭に置いておくこと
5 効率的な記録の読み方
6 記録読みに当たって励行すべきこと
7 合 議
8 判決起案
9 書記官室との関係
実務現代刑事法(その4)
第1 はじめに
第2 被害者供述の信用性,その審理等について
1 概 説
2 再審と被害者供述
3 窃盗事件と被害者供述
4 業務上横領事件と被害者供述
第3 証拠能力,証拠調べの必要性
1 証拠能力
2 証拠調べの必要性
第4 控訴審での事後審制の徹底の影響に関する瞥見
1 統計の紹介等
2 事実取調べ率・破棄率の低下と被告人側
3 事実取調べ率・破棄率の低下と検察官,裁判所
4 検察官の弁論内容について
実務現代刑事法(その5)
第1 はじめに
第2 規則123条2項は限定解釈が不可避であることについて
1 規則123条2項を前提とした一般的な実務の有り様と問題点
2 規則123条2項の限定解釈
第3 裁量判断の明確化
1 概 説
2 裁量保釈の裁量判断内容の明確化
3 職権不発動の裁判の明確化
4 いわゆる三行半の裁判の改善について
5 最判平成30年3月22日刑集72巻1号82頁と自判の視点
6 法393条1項に基づく事実取調べにおける裁判所の裁量の明確化
第4 連日的開廷と抗告
第5 被告人が行った証拠隠滅行為と量刑評価
第6 裁判員裁判で気付いたその他の事由
1 結論的印象
2 公判前整理手続に要した期間と関連する要因について
3 予定主張記載書面・冒頭陳述,立証と,弁論要旨との関係について
4 裁判員の選任手続の形骸化のおそれについて
5 裁判員にとって刺激の強い証拠の取扱い
6 被告人の上申書(供述書)の任意性の争いと,中間論告・弁論,裁判所の判断
7 状況証拠と事実認定
8 量刑グラフと量刑
9 反省会
第7 裁判員に対する説明案と事実認定
1 事案の検討
2 公判前整理手続における証明予定事実記載書面の問題点とその影響
第8 逮捕の通知制度の新設の必要性
第9 正当防衛と過剰防衛の振り分け
1 訴因,1審判決,2審判決における犯罪事実の概要
2 正当防衛と過剰防衛との振り分け
第3章
捜査官と刑事事実認定
第1 はじめに
第2 本 論
1 事実認定の普遍性・互換性
2 捜査官が行う事実認定の特徴
3 捜査官の行う事実認定の基本的な視点の変化への志向
第3 余 論
判例と捜査手法の適正化
第1 はじめに
第2 留め置きの問題状況と検討の視点
1 問題状況
2 検討の視点
第3 関連事項の先行的な検討
1 強制採尿令状の請求時期の位置付け
2 留め置きを違法とする意義の明確化
3 留め置きには終了させる契機がないこと
第4 留め置きの時間的短縮化に関連した事項
1 見極めの早期化
2 令状請求手続の簡略化
3 令状請求に着手してから令状執行までの間の留め置きの位置付け
第5 おわりに
検討判例
立証趣旨とその拘束力について
第1 はじめに
第2 立証趣旨の意義等
1 立証趣旨の意義
2 立証趣旨の内容
3 立証趣旨と証拠能力,証明力
4 立証趣旨と事件の併合
第3 消極説の根拠に関する検討
1 立証趣旨と刑事訴訟法との関係
2 立証趣旨が当事者の主張であること
3 立証趣旨と自由心証主義
4 立証趣旨と当該証拠から認定できる事実
5 立証趣旨と不意打ち防止
第4 結 語
最近の薬物事犯を中心とした最高裁判例に見る刑事控訴事件における事実誤認について
第1 はじめに
1 対象判例等
2 事案の概要等
第2 平成24年判例
1 判示事項1(刑訴法382条にいう事実誤認の意義)について
2 判示事項2に関する検討
3 判示事項3
第3 平成25年4月最決
1 判断の概要
2 既に紹介した以外の補足意見部分に関する補足的な検討
第4 平成25年10月最決
1 事案と各審級の判断要素
2 検 討
第5 平成26年最決
1 事案と各審級の判断
2 検 討
第6 平成26年最判
1 事案と1,2各審級の判断
2 最高裁の判断と検討
第7
目 次 抜 粋(上)
第1章
事実認定能力,法的思考能力と,それらの伸ばし方
第1 はじめに
第2 説明の手法
第3 事実認定と事実認定能力
1 事実認定
2 事実認定能力
第4 法的思考と法的思考能力
1 法的思考
2 法的思考能力
第5 事実認定能力と法的思考能力の伸ばし方
1 両能力を合わせた説明
2 事実認定能力と法的思考能力の成長の有り様(段階的成長論)
3 両能力を伸ばす方法
4 伸ばす具体策
第6 おわりに
参考文献
第2章
実務現代刑事法(その1)
第1 はじめに
1 発表の内容・形態について
2 取り扱うテーマの概観
第2 控訴審の執務の私的断面
1 概 要
2 控訴審の執務の有り様の概観
3 控訴審における弁護活動について
4 検察官控訴事件について
5 第一審の審理の充実について
6 控訴審の審理の有り様について
7 控訴審の判決書について
8 控訴審における即決判決について
第3 原判決後における被告人の死亡について
1 事例紹介等
2 法403条について
3 被告人の死亡を理由とする弁護人の控訴について
4 控訴審に被告事件が係属中に被告人が死亡した場合の弁護人の対処について
第4 原判決後の刑の変更について
1 問題の所在
2 最高裁決定の紹介
3 全件破棄説への疑問
4 相対的控訴理由説について
5 最高裁決定の理解について
第5 今回のまとめ
資料1
資料2
実務現代刑事法(その2)
第1 はじめに
1 今回の発表の経緯
2 今回の検討の概要
第2 創造的判例概論
1 はじめに
2 裁判における確認的作用と創造的作用
3 裁判における確認的作用
4 裁判における創造的作用
5 確認的作用と創造的作用の共通性
第3 裁判における創造的作用の視点から見た共謀共同正犯
1 はじめに
2 創造的作用と共謀共同正犯
3 共同正犯の態様の多様性と,実行行為者のみを共同正犯者とすることの実務上の問題点
4 共謀共同正犯に関する若干の問題
第4 今回の小括
実務現代刑事法(その3)
第1 はじめに
1 発表の経緯
2 「刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」とは?
3 「刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」の内容は?
4 「刑事の裁判に関するワンポイントアドヴァイス集」の発表の意図は?
第2 訴訟運営について
1 審理中のフットワークを良くしよう
2 自白事件の処理をより適正化しよう
第3 判決書について
1 判決はそれまでの訴訟運営全体の集大成であることを自覚しよう
2 主文について
3 事実認定について
4 証拠の標目について
5 補足説明について
6 「法令の適用」について
7 「量刑の理由」について
8 起案等と,その点検について
9 判決宣告期日の指定について
第4 書記官事務に強くなろう
1 意 義
2 書記官事務に強くなるには
3 書記官との「協働」の実効性を高めるには
4 その他
第5 高裁裁判官の執務について
1 3人構成を前提とした説明
2 基本的な心掛け
3 答弁書について
4 第一審の執務への指針の提示を念頭に置いておくこと
5 効率的な記録の読み方
6 記録読みに当たって励行すべきこと
7 合 議
8 判決起案
9 書記官室との関係
実務現代刑事法(その4)
第1 はじめに
第2 被害者供述の信用性,その審理等について
1 概 説
2 再審と被害者供述
3 窃盗事件と被害者供述
4 業務上横領事件と被害者供述
第3 証拠能力,証拠調べの必要性
1 証拠能力
2 証拠調べの必要性
第4 控訴審での事後審制の徹底の影響に関する瞥見
1 統計の紹介等
2 事実取調べ率・破棄率の低下と被告人側
3 事実取調べ率・破棄率の低下と検察官,裁判所
4 検察官の弁論内容について
実務現代刑事法(その5)
第1 はじめに
第2 規則123条2項は限定解釈が不可避であることについて
1 規則123条2項を前提とした一般的な実務の有り様と問題点
2 規則123条2項の限定解釈
第3 裁量判断の明確化
1 概 説
2 裁量保釈の裁量判断内容の明確化
3 職権不発動の裁判の明確化
4 いわゆる三行半の裁判の改善について
5 最判平成30年3月22日刑集72巻1号82頁と自判の視点
6 法393条1項に基づく事実取調べにおける裁判所の裁量の明確化
第4 連日的開廷と抗告
第5 被告人が行った証拠隠滅行為と量刑評価
第6 裁判員裁判で気付いたその他の事由
1 結論的印象
2 公判前整理手続に要した期間と関連する要因について
3 予定主張記載書面・冒頭陳述,立証と,弁論要旨との関係について
4 裁判員の選任手続の形骸化のおそれについて
5 裁判員にとって刺激の強い証拠の取扱い
6 被告人の上申書(供述書)の任意性の争いと,中間論告・弁論,裁判所の判断
7 状況証拠と事実認定
8 量刑グラフと量刑
9 反省会
第7 裁判員に対する説明案と事実認定
1 事案の検討
2 公判前整理手続における証明予定事実記載書面の問題点とその影響
第8 逮捕の通知制度の新設の必要性
第9 正当防衛と過剰防衛の振り分け
1 訴因,1審判決,2審判決における犯罪事実の概要
2 正当防衛と過剰防衛との振り分け
第3章
捜査官と刑事事実認定
第1 はじめに
第2 本 論
1 事実認定の普遍性・互換性
2 捜査官が行う事実認定の特徴
3 捜査官の行う事実認定の基本的な視点の変化への志向
第3 余 論
判例と捜査手法の適正化
第1 はじめに
第2 留め置きの問題状況と検討の視点
1 問題状況
2 検討の視点
第3 関連事項の先行的な検討
1 強制採尿令状の請求時期の位置付け
2 留め置きを違法とする意義の明確化
3 留め置きには終了させる契機がないこと
第4 留め置きの時間的短縮化に関連した事項
1 見極めの早期化
2 令状請求手続の簡略化
3 令状請求に着手してから令状執行までの間の留め置きの位置付け
第5 おわりに
検討判例
立証趣旨とその拘束力について
第1 はじめに
第2 立証趣旨の意義等
1 立証趣旨の意義
2 立証趣旨の内容
3 立証趣旨と証拠能力,証明力
4 立証趣旨と事件の併合
第3 消極説の根拠に関する検討
1 立証趣旨と刑事訴訟法との関係
2 立証趣旨が当事者の主張であること
3 立証趣旨と自由心証主義
4 立証趣旨と当該証拠から認定できる事実
5 立証趣旨と不意打ち防止
第4 結 語
最近の薬物事犯を中心とした最高裁判例に見る刑事控訴事件における事実誤認について
第1 はじめに
1 対象判例等
2 事案の概要等
第2 平成24年判例
1 判示事項1(刑訴法382条にいう事実誤認の意義)について
2 判示事項2に関する検討
3 判示事項3
第3 平成25年4月最決
1 判断の概要
2 既に紹介した以外の補足意見部分に関する補足的な検討
第4 平成25年10月最決
1 事案と各審級の判断要素
2 検 討
第5 平成26年最決
1 事案と各審級の判断
2 検 討
第6 平成26年最判
1 事案と1,2各審級の判断
2 最高裁の判断と検討
第7