判例にみる 自転車事故の責任と過失割合-危険運転事例を中心に-


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社会的に注目を集める危険運転事例を多数収載!
◆自転車運転者の責任や過失割合が争われた事例を分類・整理し、事案の概要を示した上で、当事者の主張、裁判所の判断、実務の参考となるコメントを掲げています。
◆自転車事故への実務対応に必要な法律・保険制度から民事・刑事上の責任までわかりやすく解説しています。
◆交通事故事件に精通し、日弁連交通事故相談センターで豊富な業務経験を有する弁護士が執筆しています。
目次
第1章 概 説
第1 自転車の特徴
1 道路交通法における自転車の定義
2 普通自転車
3 自転車の特徴
第2 自転車加害事故における責任原因
1 自転車加害事故と自動車損害賠償保障法の関係
2 一般的不法行為責任
(1) 一般的不法行為責任(民法709条)の成立要件
(2) 責任能力
3 未成年者の親等の責任
(1) 監督者責任
(2) 親権者の民法709条に基づく監督義務違反責任
(3) 自転車運転者の責任能力の有無が微妙な場合の被害者の対応
4 使用者責任
(1) 使用者責任の特徴
(2) 使用者責任の要件
(3) 自転車通勤時に生じた事故
(4) スマートフォンアプリを利用したフードデリバリーサービスの配達員による自転車事故
第3 自転車加害事故における損害算定
1 総 論
2 人身損害
(1) 積極損害
(2) 消極損害
3 物件損害(物的損害)
(1) 自転車による加害事故により四輪車が損傷した場合
(2) 交通事故により自転車が損傷した場合
4 損益相殺的調整等
第4 自転車事故における過失相殺
1 過失相殺
(1) 過失相殺
(2) 過失相殺における過失
(3) 過失相殺能力
(4) 被害者側の過失
2 自転車事故についての過失相殺
(1) 別冊判例タイムズ38号における過失相殺基準
(2) 自転車事故の過失相殺に関する文献
(3) 別冊判例タイムズ38号の過失相殺基準を用いる場合の注意点
第5 自転車事故と保険
1 総 論
2 個人賠償責任保険
3 傷害保険
4 自転車保険
5 TSマーク付帯保険
第6 自転車事故と刑事責任
1 総 論
2 業務上過失致死傷罪
3 重過失致死傷罪
4 器物損壊罪
5 自転車運転者が未成年者であった場合の刑事責任
第2章 自転車事故に関する裁判例
第1 責任原因
1 未成年者が自転車運転者であった場合
〔1〕 11歳の小学生が運転する自転車が歩行者に衝突し、歩行者が植物状態となった事故について、自転車運転者の親権者に約9520万円の支払が命ぜられた事例
〔2〕 14歳の中学2年生が運転する自転車が歩行者に追突した事故について、自転車運転者には不法行為責任を認めた一方、自転車運転者の両親については監督義務違反責任(民法709条)の成立を否定した事例
〔3〕 11歳の小学5年生の自転車運転者の責任について、自転車運転者側がその責任を認めたにもかかわらず、責任能力を否定し、自転車運転者と同居する親権者が監督者責任(民法714条1項)を負うものとした事例
〔4〕 自転車運転者(12歳)に同行していたその母親に監督義務違反責任(民法709条)の成立を認める一方、同行していなかった父親の監督義務違反責任(民法709条)については不法行為責任の成立を認めなかった事例
2 使用者責任
〔5〕 被用者が使用者からの自転車(被用者所有)での帰宅の際に起こした事故について使用者責任(民法715条)の成立を否定した事例
〔6〕 外国語学校教師が休憩時間中に自転車事故を起こした事案において、業務執行性を否定した事例
〔7〕 自転車便の運転手が業務開始前に運転手所有の自転車を用いて自転車便業者の事務所へ赴く際に起こした事故について、自転車便業者の使用者責任(民法715条)を認めた事例
〔8〕 都立高校の生徒が運転する自転車が歩行者に衝突した事故について、東京都の監督者責任、使用者責任、国家賠償法責任を否定した事例
第2 過失相殺
1 自転車対歩行者
(1) 交差点における事故
〔9〕 信号機による交通整理の行われていない十字路交差点を横断中の歩行者に車道直進中の自転車が衝突した事故において、歩行者の過失相殺率を30%と判断した事例
〔10〕 交通整理の行われていない丁字路交差点において突き当たり路から左折しようとした自転車が交差点角付近に立っていた歩行者(84歳、視覚障害者)に衝突した事故において、歩行者について過失相殺を行わなかった事例
(2) 交差点以外の場所における事故
ア 車道上の事故
〔11〕 車道直進中の自転車が横断中の歩行者(77歳)に衝突した事故において、歩行者に対する過失相殺を否定した事例
〔12〕 バス停においてバスと歩道との間を走行中の自転車がバスに乗車しようとしていた歩行者に衝突した事故において、歩行者について過失相殺を行わなかった事例
イ 歩道上の事故
〔13〕 歩道(自転車通行可能)において自転車が歩行者(77歳)に衝突した事故において、歩行者について過失相殺を行わなかった事例
〔14〕 歩道走行中の自転車(16歳)が車道から歩道に進入して歩道横断中の歩行者(78歳)に衝突した事故において、歩行者について過失相殺を行わなかった事例
〔15〕 歩道(自転車通行可能)の左側部分を走行中の自転車が左方の路地から歩道に進入した歩行者に衝突した事故において、歩行者の過失相殺率を10%と判断した事例
2 自転車と四輪車・単車との事故
(1) 交差点における直進車同士の出会い頭事故
ア 信号機による交通整理の行われている交差点における事故
〔16〕 信号機による交通整理の行われている交差点における赤信号状態で交差点に進入した自転車と青信号状態で交差点に進入した四輪車が出会い頭に衝突した事故について、自転車と四輪車の過失割合を80:20と判断した事例
〔17〕 信号機による交通整理の行われている十字路交差点において赤信号状態で交差点に進入した自転車と青信号状態で交差点に進入した四輪車が衝突した事故において、自転車の過失相殺率を80%と判断した事例
イ 信号機による交通整理の行われていない交差点における事故
〔18〕 信号機による交通整理の行われていない交差点における自転車と四輪車との出会い頭の衝突事故について、自転車運転者がイヤフォンを装着して周囲の音が聞こえにくい状態であったことを考慮して自転車の過失相殺率を30%と判断した事例
〔19〕 一時停止規制に違反して交差点に進入した自転車(8歳)が、交差道路から交差点に進入した四輪車と衝突した事故について、自転車の過失相殺率を50%と判断した事例
〔20〕 無灯火状態で一時停止規制に違反して交差点に進入した自転車と交差道路から交差点に進入した単車との衝突事故について、自転車の過失相殺率を55%と判断した事例
〔21〕 一時停止規制に違反して交差点に進入した三人乗り自転車が四輪車に衝突した事故において、自転車の過失割合を50%と判断した事例
〔22〕 信号機による交通整理の行われていない交差点において優先道路上の渋滞車両間から横断中の自転車(認知症患者)と優先道路走行中の四輪車との衝突事故について、自転車の過失相殺率を60%と判断した事例
〔23〕 信号機による交通整理の行われていない十字路交差点において優先道路走行四輪車と非優先道路走行自転車(12歳)が出会い頭に衝突した事故について、ヘルメットを着用していなかったことを自転車運転者に不利に斟酌すべき過失と評価するのは相当でないとした上で、自転車の過失相殺率を50%と判断した事例
(2) 交差点における右折車と直進車の事故
〔24〕 信号機による交通整理の行われている丁字路交差点において、直線路から突き当たり路へ右折中の四輪車とその対向方向から横断中の自転車(14歳)が衝突した事故において、自転車運転者に対する過失相殺率を15%と判断した事例
〔25〕 信号機による交通整理の行われていない十字路交差点において直進中の四輪車と右折中の無灯火自転車(92歳)との接触事故について、自転車運転者に対する過失相殺率を35%と判断した事例
〔26〕 交通整理の行われていない三差路交差点における横断歩道上を横断中の自転車と原動機付自転車との衝突事故について、十字路交差点事案における自転車の基本過失相殺率を10%減算修正した上で、最終的に過失相殺を行わなかった事例
(3) 交差点における左折四輪車と直進自転車との事故
〔27〕 信号機による交通整理の行われている交差点において四輪車による自転車横断帯上を横断中の自転車の左折巻き込み事故について、自転車運転者に対する過失相殺を行わなかった事例
〔28〕 信号機による交通整理の行われている交差点において青信号に従い横断歩道上で横断中の自転車とその対向方向から左折した四輪車が衝突した事故について、自転車に対する過失相殺率を5%と判断した事例
(4) 歩行者用信号機等が設置された横断歩道又はこれに隣接して設けられている自転車横断帯により