知的財産権と損害賠償 第3版
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賠償額の予測可能性確保のための損害論を定立!
知的財産権の侵害に対する損害賠償額の算定は、その特殊性ゆえに難しい問題を抱えています。
本書は、「知的財産権侵害の損害賠償額の適正な算定」を至上命題として、賠償額の高騰化を目論んだ初版の解釈論を収録したうえで、その後の法改正と裁判例を分析し、予測可能性を確保した賠償額算定の具体的な手法を提言しています。初版から29年を経た、損害論の深化を示す注目の第3版です。
【目次】
第1部 知的財産権と損害賠償
序章
第1節 民法709条
第2節 特許法102条1項
第3節 特許法102条2項
第4節 帰結
第Ⅰ章 文理論
第Ⅱ章 系譜論
第1節 昭和34年改正以前
第2節 昭和34年改正経過
第3節 ドイツ法
第4節 帰結
第Ⅲ章 制度論
第1節 ドイツ法
第2節 アメリカ合衆国法
第3節 帰結
第Ⅳ章 解釈論
第1節 特許法102条2項
第2節 特許法102条1項
第3節 特許法102条3項
第4節 賠償額算定方式の選択
第5節 制度論
結語
第2部 四つの知財高裁大合議判決
Ⅰ 侵害による利益を損害額と推定する特許法102条2項の適用の要件と推定の覆滅の可否
―ごみ貯蔵機器事件知財高裁大合議判決
1 はじめに 2 事実 3 判旨 4 評釈
Ⅱ 特許法102条2項における利益の意義・推定の覆滅と同条3項の相当実施料額の算定について
―二酸化炭素含有粘性組成物事件知財高裁大合議判決
1 はじめに 2 事実 3 判旨 4 評釈
Ⅲ 特許法102条1項の逸失利益の推定とその覆滅について
―美容器事件知財高裁大合議判決
1 はじめに
2「侵害の行為がなければ販売することができた物」の意義
3 推定されるべき「利益」の意義
4 特許発明の特徴が侵害製品や特許権者の製品の一部に止まる場合の処理の仕方
5 特許法102条1項但書きの推定の覆滅過程
6「実施の能力」の判断基準
Ⅳ 特許法102条2項の推定の一部覆滅後に同条3項の賠償が認められる条件について
─椅子式マッサージ機事件知財高裁大合議判決
1 はじめに 2 事実 3 判旨 4 評釈
第3部 特許法102条各項の役割分担論と損害論定立の試み
―続・知的財産権と損害賠償―
Ⅰ 序
Ⅱ 特許法102条の俯瞰
Ⅲ 特許権侵害についてなぜ特則を設ける必要があるのか
Ⅳ 賠償額の水準の高度化の歴史―法改正と裁判実務の変遷とその評価
Ⅴ これからの課題:損害額算定の予測可能性の確保
Ⅵ 結び
裁判例索引(日本・ドイツ・アメリカ合衆国)