判例法理から読み解く裁判実務 訴訟要件・訴権濫用


販売価格: 7,040円 税込
- 数量
- 著者
- 滝澤孝臣・監修 多々良周作/瀧澤孝太郎・編著
- 発行元
- 第一法規
- 発刊日
- 2023-07-05
- ISBN
- 978-4-474-07588-7
- CD-ROM
- 無し
- サイズ
- A5判上製 (466ページ)
「訴訟要件」「訴権の濫用」に関する判例・学説を網羅的、体系的に引用して解説し、現在の裁判所の考え方(判例法理の到達点)を解説した法曹実務家の必携書!
弁護士が、裁判所に訴訟を提起する場面において、裁判所で実務上「どのような訴えが却下(門前払い)、棄却(訴えが斥けられる)」されているか(「判例法理」の到達点)を理解し、裁判所に却下されずに的確に訴えを審理してもらうための必携書!
目次
監修の辞
はしがき
凡 例
序 本書の意義と構成
1 実体判断の入口要件としての訴訟要件と訴権の濫用
2 入口要件の役割・機能
3 入口要件と憲法との関係
4 考察の中心となる入口要件
⑴ 裁判所の権限に由来する訴訟要件(訴えの適格:第2編)
ア 審判権の対象としての法律上の争訟
イ 管轄権の内容たる民事訴訟事項
⑵ 民事訴訟法に由来する訴訟要件
ア 訴えの利益(第3編)
イ 当事者適格(第4編)
ウ 訴権の濫用(第5編)
第1編 訴訟要件・総論
第1 意 義
第2 種 類
1 訴訟係属に関する訴訟要件
2 当事者に関する訴訟要件
3 裁判所に関する訴訟要件
4 訴訟物に関する訴訟要件
第3 審理の在り方
1 職権調査事項と抗弁事項
2 職権探知主義と弁論主義
⑴ 資料収集の責任
⑵ 自白の成立の範囲
3 審理順序
⑴ 訴訟要件相互間
⑵ 本案の判断との前後関係
4 訴訟要件の具備されるべき時期
⑴ 事実審の口頭弁論終結時
ア 原 則
イ 事実審の口頭弁論終結後に生じた訴訟要件の変更を考慮する場合
⑵ 訴え提起時
ア 管 轄
イ 訴訟係属が適法に生じたことに関する訴訟要件
第4 訴訟要件の欠缺の場合に裁判所がとるべき措置
1 補 正
⑴ 任意の補正
⑵ 裁判所の補正命令
ア 呼出費用の予納のない場合(民訴法141条)
イ 訴訟能力、法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠く場合
ウ その他の場合
2 移送(管轄違いの場合)
3 終局判決等
⑴ 訴え却下判決
ア 手 続
イ 既判力
⑵ 請求棄却判決
⑶ 訴訟終了宣言
ア 意 義
イ 具体例
4 和 解
5 訴えの取下げ
第5 訴訟要件の欠缺を看過した判決について
1 訴訟要件の欠缺を看過した判決の効力とその確定
2 判決確定前の是正方法
3 判決確定後の是正方法
⑴ 再 審
⑵ 新訴における対応
⑶ 強制執行に対する処置
ア 現実的に想定される事案
イ 採り得る手段
第2編 訴訟要件・各論⑴─訴えの適格
第1章 総 論
1 法律上の争訟
2 民事訴訟事項
第2章 法律上の争訟
第1 審判権の対象となる「法律上の争訟」
1 判例が定義する「法律上の争訟」
⑴ はじめに
⑵ 主な判例
ア 最大判昭和27・10・8民集6巻9号783頁〔27003388〕(警察予備隊違憲訴訟)
イ 最一小判昭和29・2・11民集8巻2号419頁〔27003209〕
ウ 最大判昭和35・10・19民集14巻12号2633頁〔27002388〕
エ 最三小判昭和56・4・7民集35巻3号443頁〔27000141〕(板まんだら事件)
オ 最一小判平成30・4・26集民258号61頁〔28261884〕
カ 最大判令和2・11・25民集74巻8号2229頁〔28283801〕
2 判例の整理(3つの要件)
第2 具体的な権利義務ないし法律関係についての紛争であること(要件①)
1 権利義務ないし法律関係の存否に関するものであること
⑴ 主観的意見又は感情に基づく精神的不満をいうにすぎない訴訟(教育勅語失効確認決議違憲訴訟・最三小判昭和28・11・17集民10号455頁〔27600644〕)
⑵ 弁済の事実の確認を求める訴訟(最三小判昭和39・3・24集民72号597頁〔27621647〕)
⑶ 具体的相続分(民法903条1項)の価額又は割合の確認を求める訴訟(最一小判平成12・2・24民集54巻2号523頁〔28050495〕)
⑷ 行政上の義務履行を求める訴訟(最三小判平成14・7・9民集56巻6号1134頁〔28071914〕・宝塚市パチンコ店規制訴訟)
2 当事者間に具体的な紛争が存在すること
⑴ 警察予備隊違憲訴訟(最大判昭和27・10・8民集6巻9号783頁〔27003388〕)
⑵ 村議会予算議決無効確認訴訟(最一小判昭和29・2・11民集8巻2号419頁〔27003209〕)
⑶ 裁判所支部改廃訴訟(最二小判平成3・4・19民集45巻4号518頁〔27808493〕)
⑷ 在外国民選挙権訴訟(最大判平成17・9・14民集59巻7号2087頁〔28101810〕)
⑸ 在外国民審査権訴訟(最大判令和4・5・25民集76巻4号711頁〔28301356〕)
⑹ 自衛官命令服従義務不存在確認訴訟(最一小判令和元・7・22民集73巻3号245頁〔28272972〕)
3 客観訴訟
4 実務上の問題点
第3 法令の適用によって終局的に解決できること(要件②)
1 学術論争・試験の合否をめぐる係争
⑴ 裁判例
ア 学術論争
イ 試験の合否をめぐる係争
⒜ 技術士国家試験の合否判定(最三小判昭和41・2・8民集20巻2号196頁〔27001227〕)
⒝ 法律上の争訟性が否定された下級審裁判例
⑵ 実務上の問題点
ア 法律上の争訟性が問題とならないもの
⒜ 試験の在り方等に関する裁判例
⒝ 他事考慮等による裁量権の逸脱・濫用に関する裁判例
イ 検 討
2 宗教団体をめぐる係争
⑴ 裁判例
ア 宗教活動それ自体に関する紛争を訴訟物とするもの
イ 具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の判断過程において、宗教上の教義、信仰が問題となるもの
ウ 検 討
⑵ 実務上の問題点
ア 法律上の争訟性が問題とならないもの
⒜ 霊感商法関係
⒝ オウム真理教関係
イ 検 討
第4 事柄の性質上司法審査に適しないような事情が存しないこと(要件③)
1 はじめに
2 団体の自律権に関する係争
⑴ 地方議会関係
ア 請求(訴訟物)の内容自体について地方議会の自律権が問題となった裁判例(処分取消訴訟等)
⒜ 最大判昭和35・3・9民集14巻3号355頁〔27002490〕(議員の除名処分:肯定)
⒝ 最大判昭和35・10・19民集14巻12号2633頁〔27002388〕(出席停止の懲罰:否定)
⒞ 最一小判平成30・4・26集民258号61頁〔28261884〕(発言取消命令:否定)
⒟ 最大判令和2・11・25民集74巻8号2229頁〔28283801〕(出席停止の懲罰:肯定)
イ 自律権が前提問題となる国家賠償請求訴訟
⒜ 最三小判平成6・6・21集民172号703頁〔27825611〕
⒝ 最一小判平成31・2・14民集73巻2号123頁〔28270571〕
ウ 実務上の問題点
⒜ 部分社会の法理の現在地
⒝ 変更された判例
⒞ 懲罰事由
⒟ 審理における問題点
⑵ 政 党
⑶ 学校関係
ア 裁判例
⒜ 大学等の内部問題
⒝ その他の紛争
イ 実務上の問題点
⑷ その他
3 統治行為論・自由裁量論
⑴ 衆議院の解散(苫米地事件・最大判昭和35・6・8民集14巻7号1206頁〔27002449〕)
⑵ 条約に関する司法審査(砂川事件・最大判昭和34・12・16刑集13巻13号3225頁〔27660683〕)
⑶ 政府の経済施策の施行(最一小判昭和57・7・15集民136号571頁〔27662568〕)