日本の契約実務と契約法 日本的契約慣行の研究
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企業間取引における契約成立認定手法を欧米等諸外国との対比において分析
企業間取引における契約実務が、我が国特有の契約成立についての考え方の影響を受け、取引関係の個性を重んじ契約を丁寧に交渉する一方、不確実なものについて契約の成立や契約条件の確定を曖昧にすることを許容する特有の慣行の固定化を招き、実務進化に向けた取組みを阻害している可能性について検証する。
主要目次
はしがき
凡 例
Ⅰ 問題提起
1 日本的取引慣行に関する先行研究
2 契約成立の認定に関する先行研究
3 契約交渉過程の特徴に応じた企業間取引の分類
4 本書が提起する仮説
5 本書の構成
Ⅱ 契約成立の認定手法に関する日本と国際スタンダードの考え方の違い
1 欧米流の申込み・承諾型と事実認定を総合判断で捉える日本型
2 申込み・承諾型の契約成立認定手法
3 契約成立の認定手法の相違が実務にもたらしうる影響可能性
4 小括
Ⅲ 契約書式の活用と日本的契約慣行
1 交渉力の強い当事者による契約書式の活用
2 両当事者が対等な交渉力を有し、それぞれ契約書式を準備する場合
3 両当事者が自社の契約書式を準備しない場合
Ⅳ 先の見通しの立たない取引における日本的契約慣行
1 欧米型の黙示の合意認定プロセス
2 先の見通しの立たない取引における日本的な規範意識
3 申込みに対する期待や信頼の保護と日本的契約慣行
4 先の見通しの立たない取引における契約設計
Ⅴ 契約成立認定手法と契約解釈
1 なぜ契約成立認定手法が契約解釈のあり方に影響を及ぼすのか
2 申込者のコミットメントに対する承諾者の期待・信頼の保護
3 当事者の期待・信頼を考慮しない我が国の契約成立認定手法
4 黙示の合意の活用法
5 建設工事請負契約の実務
6 システム開発多段階契約の実務
Ⅵ 練り上げられた契約における契約解釈の特徴
1 米国における契約解釈をめぐる論争
2 形式主義が示す契約解釈論
3 練り上げられた契約に対する我が国の契約解釈の特徴
4 小括─交渉の経緯を契約解釈において考慮しない我が国の実務慣行
Ⅶ コンティンジェンシーへの対処法と契約実務の進化
1 日本的契約慣行の進化の経路依存性─進化ゲームによる考察
2 日本特有の社会的、文化的背景と日本的契約慣行の進化
3 契約書式の取り扱いと契約法の進化─書式の戦いを題材に
Ⅷ 義務的に完備な契約と債務者の責めに帰すべき事由
1 帰責性を契約規範から排除しようとしたコモンロー
2 義務的に完備な契約
3 義務的に完備な契約における帰責性(fault)の役割
4 我が国における帰責性の役割の特異性
5 小括
Ⅸ 契約書式を活用した契約における管理コストの問題 ─サプライチェーン・マネジメントの国際比較の見地から
1 日本企業のサプライチェーン・マネジメントの課題
2 サプライチェーン・デュー・ディリジェンス
3 ドイツ上場企業が実践するサプライチェーン・デュー・ディリジェンス
4 日本企業の取り組み状況
5 小括
Ⅹ 総括─契約成立の認定手法の特異性がもたらす日本的契約慣行
1 契約書式を活用した定型的契約
2 先の見通しの立たない取引における契約
3 洗練された当事者によって練り上げられた契約
4 総括─我が国の契約実務と契約法の将来
事項索引
判例索引(日本)
判例索引(外国)
引用文献(日本)
引用文献(外国)