西谷敏著作集 第8巻 労働関係における均等待遇

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労働者「差別」をいかに認定し救済すべきか
労働者「差別」とは何か。どのように救済すべきか。
労働者「差別」を、国籍・信条・社会的身分による差別、性別を理由とする差別、労働組合への所属やその正当な活動を理由とする差別、正社員と非正規労働者との処遇格差、に分類し、その認定、救済の在り方を探求する。
男女差別、組合差別、非正規雇用に関する意見書も収録。
◎詳細目次
刊行にあたって
本巻はしがき
Ⅰ 思想差別
思想を理由とする賃金差別の法理――東京電力事件四判決をめぐって
一 東京電力事件四判決の意義
二 事案の概要と四判決の結論
1 認定された事実
(1)会社の反共労務政策
(2)共産党員・支持者であることの認識
(3)賃金体系の性格
(4)あるべき給与ないし平均的賃金の計算
2 各判決の結論
3 東電事件の特徴
三 論点ごとの検討
1 思想による差別の違法性
2 差別と格差の因果関係の証明
(1)問題の所在
(2)大量観察方式と間接反証の理論
(3)東電各判決の特徴
(4)証明責任のあり方
3 能力・業績の判断
4 差別と適正な査定が混在した場合の損害額
(1)東電四判決の立場
(2)損害額認定の方法
おわりに
Ⅱ 性差別
「男女共同参画社会」と雇用・就労
一 「男女共同参画社会」の理念
二 均等法改正と雇用・就労の平等
1 差別の実態と均等法
2 改正均等法の不十分性
三 女性保護廃止の意味
1 九七年労基法改正による女性保護廃止
2 九八年労基法改正案による男女共通規制?
3 女性保護廃止の論理と問題性
4 予想される事態
四 「男女共同参画社会」実現に向けて
1 二一世紀に向けての女性労働政策
2 時間短縮と労働時間の適正配置
おわりに
コース別雇用管理と女性差別の違法性――住友電工事件大阪地裁判決に関する見解
はじめに
一 判決の論理とその問題点
1 判決の論理
2 問題点
二 いわゆるコース別雇用管理と男女差別
1 コース別雇用管理と雇用管理区分
2 二つのコース別雇用管理
3 適正なコース制の要件
(1)コース別管理の明確性
(2)コース分け基準の合理性
(3)処遇とコース分け基準の対応関係
4 本件採用区分と判決の問題点
(1)コース別管理の明確性
(2)コース分け基準の合理性
(3)本件コース制の性格
三 憲法一四条と公序良俗
1 判決の論理
2 憲法一四条と公序良俗
3 時代制約論について
四 是正義務の内容
男女「コース制」の違法性とその救済法理――野村證券事件に関する意見書
一 原審判決の概要と論点
1 認定された事実
2 男女「コース制」の法的評価
3 論点
二 コース制と男女差別
1 コース別雇用管理の意義
2 コース制と雇用管理区分
3 真正コース制と不真正コース制
4 本件「コース制」の特徴とその評価
三 昇格差別と労基法・公序良俗
1 昇格差別と労基法四条
(1)労基法四条の規範的意味内容
(2)労基法四条と昇格差別
(3)本件昇格と労基法四条
2 昇格差別と公序良俗
(1)公序良俗と強行法規
(2)旧均等法と公序良俗
(3)昇格差別と公序良俗
四 昇給・昇格差別と合理性
1 昇給・昇格差別の判断方法
2 業務内容の相違と性差別
3 勤務地限定と性差別
(1)転勤と経験、知識
(2)転勤の生活負担
五 昇給・昇格差別と救済のあり方
1 賃金請求権と損害賠償請求権
2 昇格した地位の確認
男女別コース制と労基法四条――兼松男女賃金差別事件に関する意見書
はじめに
一 原判決の認定と判断
二 労基法四条の意義と男女別コース制
1 労基法四条の性格
2 職務配置と労基法四条
3 同一価値労働・同一賃金原則と労基法四条
4 合理的根拠の立証責任
5 男女別コース制と労基法四条違反
三 原判決の判断の検討
1 男女別コース制のとらえ方
2 職務比較の方法
3 女性の勤続年数
賃金・昇格差別の救済法理
はじめに
一 昇格差別の法的性格
1 職能資格制度と昇格
2 資格決定(格付け)における裁量と限界
3 資格の変更と維持
4 女性に対する格付け差別の法的効力
二 賃金差別の救済
1 学説・判例の状況
2 ドイツの取扱い
(1)民法典の規定
(2)賃金差別の救済方法に関する判例・学説
(3)格付けと賃金差別
3 差額請求権の根拠に関する私見
(1)基本的な考え方
(2)類型ごとの解決
三 昇格差別と昇格地位確認請求
1 賃金差別としての昇格差別の救済方法
2 その他の昇格差別の救済
3 男性基準の見方
性別による昇格差別と課長職資格の確認――芝信用金庫事件・東京高裁平成一二年一二月二二日判決
一 事実の概要
二 判 旨
1 昇格差別の存在
2 昇格後の資格確認の訴えの利益
3 Xらの昇格の成否ならびに昇格の時点
4 差額賃金、退職金、損害賠償請求権の存否等
三 研 究
1 昇格差別の認定
2 昇格後の地位確認請求の認容
3 判決の射程距離
切り開かれた差別救済の新地平――芝信用金庫事件高裁判決と和解の意義
はじめに
一 芝信用金庫事件とは
二 高裁判決の特徴
1 昇格差別の認定
2 使用者の平等取扱義務
3 昇格後の地位確認請求の認容
(1)一審・高裁判決の画期的意義
(2)使用者の裁量との関係
(3)昇格させないことは不作為か
4 昇格した地位を認めるべき時期
5 不法行為性
三 判決と和解の意義
1 差額賃金請求権と昇格した地位確認の承認
2 女性差別事件へのインバクト
(1)女性差別の現状
(2)差別解消のための法的課題
(3)高裁判決の基本的な発想
おわりに
Ⅲ 組合間差別
組合所属を理由とする昇格差別について――放送映画製作所事件に関する意見書
一 昇格差別の不当労働行為性判断における証明責任
二 チーフ昇格について
1 「等質性」の要件
2 個別審査の方法
三 課長昇格について
四 副部長昇格について
公務員の組合活動と差別待遇――横浜税関事件・横浜地裁判決の検討
一 一連の全税関事件
二 労働組合抑圧と不法行為
1 横浜税関事件の特徴
2 他の二判決との比較
3 労働組合の「非違行為」の意味
4 労働組合の「行為」と「存立」
三 昇任等差別の不法行為性
1 神戸地裁判決
2 大阪地裁判決
3 横浜地裁判決の特徴
四 検討課題
Ⅳ 非正規雇用
非正規雇用の拡大がもたらすもの
一 増える非正規雇用
二 「身分」としての非正規雇用
三 非正規「身分」を拡大する労働法制再編
1 派遣の自由化
労働者「差別」とは何か。どのように救済すべきか。
労働者「差別」を、国籍・信条・社会的身分による差別、性別を理由とする差別、労働組合への所属やその正当な活動を理由とする差別、正社員と非正規労働者との処遇格差、に分類し、その認定、救済の在り方を探求する。
男女差別、組合差別、非正規雇用に関する意見書も収録。
◎詳細目次
刊行にあたって
本巻はしがき
Ⅰ 思想差別
思想を理由とする賃金差別の法理――東京電力事件四判決をめぐって
一 東京電力事件四判決の意義
二 事案の概要と四判決の結論
1 認定された事実
(1)会社の反共労務政策
(2)共産党員・支持者であることの認識
(3)賃金体系の性格
(4)あるべき給与ないし平均的賃金の計算
2 各判決の結論
3 東電事件の特徴
三 論点ごとの検討
1 思想による差別の違法性
2 差別と格差の因果関係の証明
(1)問題の所在
(2)大量観察方式と間接反証の理論
(3)東電各判決の特徴
(4)証明責任のあり方
3 能力・業績の判断
4 差別と適正な査定が混在した場合の損害額
(1)東電四判決の立場
(2)損害額認定の方法
おわりに
Ⅱ 性差別
「男女共同参画社会」と雇用・就労
一 「男女共同参画社会」の理念
二 均等法改正と雇用・就労の平等
1 差別の実態と均等法
2 改正均等法の不十分性
三 女性保護廃止の意味
1 九七年労基法改正による女性保護廃止
2 九八年労基法改正案による男女共通規制?
3 女性保護廃止の論理と問題性
4 予想される事態
四 「男女共同参画社会」実現に向けて
1 二一世紀に向けての女性労働政策
2 時間短縮と労働時間の適正配置
おわりに
コース別雇用管理と女性差別の違法性――住友電工事件大阪地裁判決に関する見解
はじめに
一 判決の論理とその問題点
1 判決の論理
2 問題点
二 いわゆるコース別雇用管理と男女差別
1 コース別雇用管理と雇用管理区分
2 二つのコース別雇用管理
3 適正なコース制の要件
(1)コース別管理の明確性
(2)コース分け基準の合理性
(3)処遇とコース分け基準の対応関係
4 本件採用区分と判決の問題点
(1)コース別管理の明確性
(2)コース分け基準の合理性
(3)本件コース制の性格
三 憲法一四条と公序良俗
1 判決の論理
2 憲法一四条と公序良俗
3 時代制約論について
四 是正義務の内容
男女「コース制」の違法性とその救済法理――野村證券事件に関する意見書
一 原審判決の概要と論点
1 認定された事実
2 男女「コース制」の法的評価
3 論点
二 コース制と男女差別
1 コース別雇用管理の意義
2 コース制と雇用管理区分
3 真正コース制と不真正コース制
4 本件「コース制」の特徴とその評価
三 昇格差別と労基法・公序良俗
1 昇格差別と労基法四条
(1)労基法四条の規範的意味内容
(2)労基法四条と昇格差別
(3)本件昇格と労基法四条
2 昇格差別と公序良俗
(1)公序良俗と強行法規
(2)旧均等法と公序良俗
(3)昇格差別と公序良俗
四 昇給・昇格差別と合理性
1 昇給・昇格差別の判断方法
2 業務内容の相違と性差別
3 勤務地限定と性差別
(1)転勤と経験、知識
(2)転勤の生活負担
五 昇給・昇格差別と救済のあり方
1 賃金請求権と損害賠償請求権
2 昇格した地位の確認
男女別コース制と労基法四条――兼松男女賃金差別事件に関する意見書
はじめに
一 原判決の認定と判断
二 労基法四条の意義と男女別コース制
1 労基法四条の性格
2 職務配置と労基法四条
3 同一価値労働・同一賃金原則と労基法四条
4 合理的根拠の立証責任
5 男女別コース制と労基法四条違反
三 原判決の判断の検討
1 男女別コース制のとらえ方
2 職務比較の方法
3 女性の勤続年数
賃金・昇格差別の救済法理
はじめに
一 昇格差別の法的性格
1 職能資格制度と昇格
2 資格決定(格付け)における裁量と限界
3 資格の変更と維持
4 女性に対する格付け差別の法的効力
二 賃金差別の救済
1 学説・判例の状況
2 ドイツの取扱い
(1)民法典の規定
(2)賃金差別の救済方法に関する判例・学説
(3)格付けと賃金差別
3 差額請求権の根拠に関する私見
(1)基本的な考え方
(2)類型ごとの解決
三 昇格差別と昇格地位確認請求
1 賃金差別としての昇格差別の救済方法
2 その他の昇格差別の救済
3 男性基準の見方
性別による昇格差別と課長職資格の確認――芝信用金庫事件・東京高裁平成一二年一二月二二日判決
一 事実の概要
二 判 旨
1 昇格差別の存在
2 昇格後の資格確認の訴えの利益
3 Xらの昇格の成否ならびに昇格の時点
4 差額賃金、退職金、損害賠償請求権の存否等
三 研 究
1 昇格差別の認定
2 昇格後の地位確認請求の認容
3 判決の射程距離
切り開かれた差別救済の新地平――芝信用金庫事件高裁判決と和解の意義
はじめに
一 芝信用金庫事件とは
二 高裁判決の特徴
1 昇格差別の認定
2 使用者の平等取扱義務
3 昇格後の地位確認請求の認容
(1)一審・高裁判決の画期的意義
(2)使用者の裁量との関係
(3)昇格させないことは不作為か
4 昇格した地位を認めるべき時期
5 不法行為性
三 判決と和解の意義
1 差額賃金請求権と昇格した地位確認の承認
2 女性差別事件へのインバクト
(1)女性差別の現状
(2)差別解消のための法的課題
(3)高裁判決の基本的な発想
おわりに
Ⅲ 組合間差別
組合所属を理由とする昇格差別について――放送映画製作所事件に関する意見書
一 昇格差別の不当労働行為性判断における証明責任
二 チーフ昇格について
1 「等質性」の要件
2 個別審査の方法
三 課長昇格について
四 副部長昇格について
公務員の組合活動と差別待遇――横浜税関事件・横浜地裁判決の検討
一 一連の全税関事件
二 労働組合抑圧と不法行為
1 横浜税関事件の特徴
2 他の二判決との比較
3 労働組合の「非違行為」の意味
4 労働組合の「行為」と「存立」
三 昇任等差別の不法行為性
1 神戸地裁判決
2 大阪地裁判決
3 横浜地裁判決の特徴
四 検討課題
Ⅳ 非正規雇用
非正規雇用の拡大がもたらすもの
一 増える非正規雇用
二 「身分」としての非正規雇用
三 非正規「身分」を拡大する労働法制再編
1 派遣の自由化