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西谷敏著作集 第8巻 労働関係における均等待遇

西谷敏著作集 第8巻 労働関係における均等待遇

販売価格: 7,150円 税込

数量
著者
西谷 敏・著
発行元
旬報社
発刊日
2025-05-27
ISBN
978-4-8451-1899-1
CD-ROM
無し
サイズ
A5判上製 (492ページ)
労働者「差別」をいかに認定し救済すべきか

労働者「差別」とは何か。どのように救済すべきか。
労働者「差別」を、国籍・信条・社会的身分による差別、性別を理由とする差別、労働組合への所属やその正当な活動を理由とする差別、正社員と非正規労働者との処遇格差、に分類し、その認定、救済の在り方を探求する。
男女差別、組合差別、非正規雇用に関する意見書も収録。

◎詳細目次
刊行にあたって
本巻はしがき

Ⅰ 思想差別
思想を理由とする賃金差別の法理――東京電力事件四判決をめぐって
 一 東京電力事件四判決の意義
 二 事案の概要と四判決の結論
  1 認定された事実
   (1)会社の反共労務政策
   (2)共産党員・支持者であることの認識
   (3)賃金体系の性格
   (4)あるべき給与ないし平均的賃金の計算
  2 各判決の結論
  3 東電事件の特徴
 三 論点ごとの検討
  1 思想による差別の違法性
  2 差別と格差の因果関係の証明
   (1)問題の所在
   (2)大量観察方式と間接反証の理論
   (3)東電各判決の特徴
   (4)証明責任のあり方
  3 能力・業績の判断
  4 差別と適正な査定が混在した場合の損害額
   (1)東電四判決の立場
   (2)損害額認定の方法
 おわりに

Ⅱ 性差別
「男女共同参画社会」と雇用・就労
 一 「男女共同参画社会」の理念
 二 均等法改正と雇用・就労の平等
  1 差別の実態と均等法
  2 改正均等法の不十分性
 三 女性保護廃止の意味
  1 九七年労基法改正による女性保護廃止
  2 九八年労基法改正案による男女共通規制?
  3 女性保護廃止の論理と問題性
  4 予想される事態
 四 「男女共同参画社会」実現に向けて
  1 二一世紀に向けての女性労働政策
  2 時間短縮と労働時間の適正配置
 おわりに

コース別雇用管理と女性差別の違法性――住友電工事件大阪地裁判決に関する見解
はじめに
 一 判決の論理とその問題点
  1 判決の論理
  2 問題点
 二 いわゆるコース別雇用管理と男女差別
  1 コース別雇用管理と雇用管理区分
  2 二つのコース別雇用管理
  3 適正なコース制の要件
   (1)コース別管理の明確性
   (2)コース分け基準の合理性
   (3)処遇とコース分け基準の対応関係
  4 本件採用区分と判決の問題点
   (1)コース別管理の明確性
   (2)コース分け基準の合理性
   (3)本件コース制の性格
 三 憲法一四条と公序良俗
  1 判決の論理
  2 憲法一四条と公序良俗
  3 時代制約論について
 四 是正義務の内容

男女「コース制」の違法性とその救済法理――野村證券事件に関する意見書
 一 原審判決の概要と論点
  1 認定された事実
  2 男女「コース制」の法的評価
  3 論点
 二 コース制と男女差別
  1 コース別雇用管理の意義
  2 コース制と雇用管理区分
  3 真正コース制と不真正コース制
  4 本件「コース制」の特徴とその評価
 三 昇格差別と労基法・公序良俗
  1 昇格差別と労基法四条
   (1)労基法四条の規範的意味内容
   (2)労基法四条と昇格差別
   (3)本件昇格と労基法四条
  2 昇格差別と公序良俗
   (1)公序良俗と強行法規
   (2)旧均等法と公序良俗
   (3)昇格差別と公序良俗
 四 昇給・昇格差別と合理性
  1 昇給・昇格差別の判断方法
  2 業務内容の相違と性差別
  3 勤務地限定と性差別
   (1)転勤と経験、知識
   (2)転勤の生活負担
 五 昇給・昇格差別と救済のあり方
  1 賃金請求権と損害賠償請求権
  2 昇格した地位の確認

男女別コース制と労基法四条――兼松男女賃金差別事件に関する意見書
はじめに
 一 原判決の認定と判断
 二 労基法四条の意義と男女別コース制
  1 労基法四条の性格
  2 職務配置と労基法四条
  3 同一価値労働・同一賃金原則と労基法四条
  4 合理的根拠の立証責任
  5 男女別コース制と労基法四条違反
 三 原判決の判断の検討
  1 男女別コース制のとらえ方
  2 職務比較の方法
  3 女性の勤続年数

賃金・昇格差別の救済法理
はじめに
 一 昇格差別の法的性格
  1 職能資格制度と昇格
  2 資格決定(格付け)における裁量と限界
  3 資格の変更と維持
  4 女性に対する格付け差別の法的効力
 二 賃金差別の救済
  1 学説・判例の状況
  2 ドイツの取扱い
   (1)民法典の規定
   (2)賃金差別の救済方法に関する判例・学説
   (3)格付けと賃金差別
  3 差額請求権の根拠に関する私見
   (1)基本的な考え方
   (2)類型ごとの解決
 三 昇格差別と昇格地位確認請求
  1 賃金差別としての昇格差別の救済方法
  2 その他の昇格差別の救済
  3 男性基準の見方

性別による昇格差別と課長職資格の確認――芝信用金庫事件・東京高裁平成一二年一二月二二日判決
 一 事実の概要
 二 判  旨
  1 昇格差別の存在
  2 昇格後の資格確認の訴えの利益
  3 Xらの昇格の成否ならびに昇格の時点
  4 差額賃金、退職金、損害賠償請求権の存否等
 三 研  究
  1 昇格差別の認定
  2 昇格後の地位確認請求の認容
  3 判決の射程距離

切り開かれた差別救済の新地平――芝信用金庫事件高裁判決と和解の意義
はじめに
 一 芝信用金庫事件とは
 二 高裁判決の特徴
  1 昇格差別の認定
  2 使用者の平等取扱義務
  3 昇格後の地位確認請求の認容
   (1)一審・高裁判決の画期的意義
   (2)使用者の裁量との関係
   (3)昇格させないことは不作為か
  4 昇格した地位を認めるべき時期
  5 不法行為性
 三 判決と和解の意義
  1 差額賃金請求権と昇格した地位確認の承認
  2 女性差別事件へのインバクト
   (1)女性差別の現状
   (2)差別解消のための法的課題
  (3)高裁判決の基本的な発想
 おわりに

Ⅲ 組合間差別
組合所属を理由とする昇格差別について――放送映画製作所事件に関する意見書
 一 昇格差別の不当労働行為性判断における証明責任
 二 チーフ昇格について
  1 「等質性」の要件
  2 個別審査の方法
 三 課長昇格について
 四 副部長昇格について

公務員の組合活動と差別待遇――横浜税関事件・横浜地裁判決の検討
 一 一連の全税関事件
 二 労働組合抑圧と不法行為
  1 横浜税関事件の特徴
  2 他の二判決との比較
  3 労働組合の「非違行為」の意味
  4 労働組合の「行為」と「存立」
 三 昇任等差別の不法行為性
  1 神戸地裁判決
  2 大阪地裁判決
  3 横浜地裁判決の特徴
 四 検討課題

Ⅳ 非正規雇用
非正規雇用の拡大がもたらすもの
 一 増える非正規雇用
 二 「身分」としての非正規雇用
 三 非正規「身分」を拡大する労働法制再編
  1 派遣の自由化
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