パンデミックと医薬品供給の法的問題 アンチコモンズの悲劇からの解放に向けて

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パンデミック下、特許権は医薬品供給の障害となるのか? 多数プレイヤーの関与により生じる「アンチコモンズの悲劇」問題に取り組む。
医薬品の開発供給には、知的財産の利用が不可欠である。開発供給に必要な要素につき、許諾権限を持つ者の同意が得られなければ、治療薬やワクチンの開発は妨げられてしまう。拒否権限を持つ者が複数存在するゆえに生じる、「アンチコモンズの悲劇」だ。平時とは異なる緊急時の様々な法的問題について、解決の選択肢とその展望を見通す。
【目次】
はしがき
第I部 アンチコモンズの理論
第1章 アンチコモンズの理論――規範的方法論と非規範的方法論の概観[ロイ・A.パルテイン(森綾香・訳)]
I アンチコモンズとしての補完的独占
II 起業家が排他的権利の調整を解決する――コース(1937)
III 不均衡な拒否権及びアンチコモンズを創出する力――ペンローズ(1946)、シャープレーとシュービック(1954)、バンザフ(1965)
IV ツェベリスと拒否権プレイヤー論
V ヘラーとアンチコモンズの悲劇
VI ヘラーのアンチコモンズを基礎とするモデル
VII 結論 28
第2章 商業上の悲劇か、それとも喜劇か――複雑な企業間契約法におけるアンチコモンズの役割[ロイ・A.パルテイン(阿部冬星・訳)]
I アンチコモンズの定義
II アンチコモンズの喜劇と悲劇
III 企業内の各場面におけるアンチコモンズの遍在性
IV 集合的投票に基づくアンチコモンズ
V アンチコモンズは契約法に関する場面でどのように出現するのか
VI 結論
第3章 パンデミック協力と国際法[コンスタンティノス・ヤロリデス、ロイ. A・パルテイン(杉本優太・訳)]
I 序論
II パンデミック事象
III パンデミック協力の略史
IV パンデミックにおける国家の協力義務
V COVID─19のパンデミック時における協力の崩壊
VI 効果的なパンデミック協力のための迅速な多層的意思決定
VII パンデミック協力の改善に向けた新たな取り組み
VIII 結論
第II部 パンデミック時の法的課題
第4章 [導入]パンデミック時における医薬品開発及び供給の法的課題――日本におけるCOVID─19ワクチンの経験[前田健]
I はじめに
II COVID─19ワクチンの開発と日本への導入
III 医薬品の開発促進に関する法制度
IV 我が国の制度的課題
V おわりに
第5章 [知的財産法①]パンデミックと知的財産・技術移転――国際ルールに求められるもの[中山一郎]
I はじめに
II 医薬品アクセスにおける特許権の二面性と伝統的対応策
III COVID─19パンデミックにおける医薬品アクセスと知財
IV 国際ルールに求められるもの
V おわりに
第6章 [知的財産法②]パンデミックにおける情報の共有[加藤暁子]
I 「知的財産を含む情報」を論じる意義
II データの保護と共有のメカニズム
III COVID─19パンデミックにおける情報の共有の経験
IV 考察と今後の展望
第7章 [市場と規制①]日本における予防接種補償の制度的基盤と規範的正当化[角松生史]
I 日本の予防接種の歴史
II 予防接種副作用に対する補償――制度的・規範的基盤
III COVID─19ワクチンをめぐる状況
IV むすびに替えて
第8章 [市場と規制②]医薬品メーカーによる特許戦略の競争法による規制[鞠山尚子]
I はじめに
II 米国におけるオレンジブックへの不適切な特許掲載による後発医薬品の参入阻害
III 多数の特許による後発医薬品排除戦略
IV 我が国における特許戦略の可能性
V おわりに
第9章 [市場と規制③]排他権の経済分析と特許権のラディカル・マーケット――特許料(特許権コスト)に着目した「アンチコモンズの悲劇」への処方箋[鈴木敬史]
I 問題の所在
II 従前の議論
III Posner & Weylの議論
IV Posner & Weylの議論に対する批判
V 特許権のラディカル・マーケット
VI むすびにかえて─よりラディカルでない制度論
第10章 [紛争解決]パンデミックにおける医薬品開発・製造契約の成立及び運用に向けた調停・仲裁の活用[齋藤光理]
I はじめに
II 訴訟からの仲裁・調停への変遷
III 現代型調停のコモンロー法域への伝搬
IV 医薬品研究開発・製造契約におけるアンチコモンズ構造の解消のための調停・仲裁等の効果的活用
V 結論
索引
執筆者紹介
医薬品の開発供給には、知的財産の利用が不可欠である。開発供給に必要な要素につき、許諾権限を持つ者の同意が得られなければ、治療薬やワクチンの開発は妨げられてしまう。拒否権限を持つ者が複数存在するゆえに生じる、「アンチコモンズの悲劇」だ。平時とは異なる緊急時の様々な法的問題について、解決の選択肢とその展望を見通す。
【目次】
はしがき
第I部 アンチコモンズの理論
第1章 アンチコモンズの理論――規範的方法論と非規範的方法論の概観[ロイ・A.パルテイン(森綾香・訳)]
I アンチコモンズとしての補完的独占
II 起業家が排他的権利の調整を解決する――コース(1937)
III 不均衡な拒否権及びアンチコモンズを創出する力――ペンローズ(1946)、シャープレーとシュービック(1954)、バンザフ(1965)
IV ツェベリスと拒否権プレイヤー論
V ヘラーとアンチコモンズの悲劇
VI ヘラーのアンチコモンズを基礎とするモデル
VII 結論 28
第2章 商業上の悲劇か、それとも喜劇か――複雑な企業間契約法におけるアンチコモンズの役割[ロイ・A.パルテイン(阿部冬星・訳)]
I アンチコモンズの定義
II アンチコモンズの喜劇と悲劇
III 企業内の各場面におけるアンチコモンズの遍在性
IV 集合的投票に基づくアンチコモンズ
V アンチコモンズは契約法に関する場面でどのように出現するのか
VI 結論
第3章 パンデミック協力と国際法[コンスタンティノス・ヤロリデス、ロイ. A・パルテイン(杉本優太・訳)]
I 序論
II パンデミック事象
III パンデミック協力の略史
IV パンデミックにおける国家の協力義務
V COVID─19のパンデミック時における協力の崩壊
VI 効果的なパンデミック協力のための迅速な多層的意思決定
VII パンデミック協力の改善に向けた新たな取り組み
VIII 結論
第II部 パンデミック時の法的課題
第4章 [導入]パンデミック時における医薬品開発及び供給の法的課題――日本におけるCOVID─19ワクチンの経験[前田健]
I はじめに
II COVID─19ワクチンの開発と日本への導入
III 医薬品の開発促進に関する法制度
IV 我が国の制度的課題
V おわりに
第5章 [知的財産法①]パンデミックと知的財産・技術移転――国際ルールに求められるもの[中山一郎]
I はじめに
II 医薬品アクセスにおける特許権の二面性と伝統的対応策
III COVID─19パンデミックにおける医薬品アクセスと知財
IV 国際ルールに求められるもの
V おわりに
第6章 [知的財産法②]パンデミックにおける情報の共有[加藤暁子]
I 「知的財産を含む情報」を論じる意義
II データの保護と共有のメカニズム
III COVID─19パンデミックにおける情報の共有の経験
IV 考察と今後の展望
第7章 [市場と規制①]日本における予防接種補償の制度的基盤と規範的正当化[角松生史]
I 日本の予防接種の歴史
II 予防接種副作用に対する補償――制度的・規範的基盤
III COVID─19ワクチンをめぐる状況
IV むすびに替えて
第8章 [市場と規制②]医薬品メーカーによる特許戦略の競争法による規制[鞠山尚子]
I はじめに
II 米国におけるオレンジブックへの不適切な特許掲載による後発医薬品の参入阻害
III 多数の特許による後発医薬品排除戦略
IV 我が国における特許戦略の可能性
V おわりに
第9章 [市場と規制③]排他権の経済分析と特許権のラディカル・マーケット――特許料(特許権コスト)に着目した「アンチコモンズの悲劇」への処方箋[鈴木敬史]
I 問題の所在
II 従前の議論
III Posner & Weylの議論
IV Posner & Weylの議論に対する批判
V 特許権のラディカル・マーケット
VI むすびにかえて─よりラディカルでない制度論
第10章 [紛争解決]パンデミックにおける医薬品開発・製造契約の成立及び運用に向けた調停・仲裁の活用[齋藤光理]
I はじめに
II 訴訟からの仲裁・調停への変遷
III 現代型調停のコモンロー法域への伝搬
IV 医薬品研究開発・製造契約におけるアンチコモンズ構造の解消のための調停・仲裁等の効果的活用
V 結論
索引
執筆者紹介