AI時代の詐欺罪

AI時代の詐欺罪

販売価格: 10,780円 税込

著者
長井 圓・編著
発行元
信山社
発刊日
2025-09-01
ISBN
978-4-7972-8221-4
CD-ROM
無し
サイズ
A5判 (644ページ)
◆脆弱な消費者を狙い撃つ巧妙な詐欺の横行、果たして国家の監視は機能するのか。

【目 次】

◆1 IT社会における「個人の尊厳」と「財産の自律」〔長井 圓〕

Ⅰ 序章―情報通信技術の光と影
 1 人間の尊厳とAIの自律
 2 人間の尊厳と技術の両面性
 3 個人の尊厳と個人の自律
 4 個人情報保護の根拠
Ⅱ 2つの実例―「成り済まし」による責任主体の隠蔽・捏造
 1 いわゆる「成り済まし」の「反社会性」
 2 実例1
 3 実例2
Ⅲ 人類の直面する危機と民主主義・自由主義・資本主義
 1 AI技術のもたらす不公平・資産格差
 2 真実から目を外らす大衆迎合政治(Populism)と関心誘導経済(Attention Economy)との融合
 3 戦後政権の大罪―日本現代史
 4 平和と戦争の葛藤
Ⅳ デジタル社会の法規制
 1 AIと人の法的責任
 2 AIの功罪をめぐる論争
 3 個人情報保護と監視国家・監視資本主義の憲法規制
 4 デジタル情報の安全保障と法規制のあり方

◆2 詐欺罪と経済刑法〔穴沢大輔〕

Ⅰ 問題意識
Ⅱ 詐欺類似ケースへの対応
Ⅲ 組織化された詐欺への対応
Ⅳ 営業秘密の侵害
Ⅴ 今後の方向

◆3 刑事手続におけるデジタルデータに対する捜査機関のアクセスに関する一考察―EUにおける議論を参考として〔藤本幸二〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 問題の所在
Ⅲ 日本における現状と課題
 1 捜査機関によるデジタルデータへのアクセスの捜査法上の位置づけ
 2 1を正当化するための手続
Ⅳ アメリカ合衆国の状況
 1 アメリカ合衆国
Ⅴ EUにおける状況
 1 ECHR第8条とデジタルデータへのアクセス
 2 加盟国の事例―オランダとイタリア
Ⅵ 日本法に対する示唆,あるいは影響

◆4 民法・刑法の財産法における統合と独立〔高橋則夫〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 刑罰と損害賠償の差異性
 1 刑罰と損害賠償
 2 刑事不法と民事不法
 3 刑法と民法の接近―損害回復―
Ⅲ 刑罰と損害賠償における機能論と規範論
Ⅳ 刑法における規範論的基礎
 1 法規・法命題・法規範
 2 行為規範と制裁規範
Ⅴ 民法と刑法における行為規範―民法従属性と民法独立性
Ⅵ 詐欺行為における民法と刑法の交錯
  Ⅶ おわりに

◆5 民法・刑法における財産的価値の評価について〔内海朋子〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 保護に値する財産的価値の外延
 1 支配の始期
 2 支配の終期
Ⅲ 財産的価値を評価する主体
 1 被害者による独自の価値の設定
 2 消極的価値の議論
 3 行為者による独自の価値の設定
 4 小括:価値の大小を決するファクター
Ⅳ 対象物の性質に応じた支配の設定
 1 有体物と無体物
 2 有体物における支配の設定
 3 無体物における支配の設定
Ⅴ 結  語

◆6 民事不法原因給付と詐欺罪の成否(判例と学説)〔海老澤侑〕

Ⅰ はじめに
 1 問題の所在
 2 判例,学説の基本的立場
Ⅱ 想定事案
 1 金銭詐取後,返還拒否事例
 2 不法債務履行後,対価未払い事例
Ⅲ 検討項目
 1 何を重視しているのか
 2 「不法原因給付と詐欺罪」で問題となる財物・利益
 3 違法の相対性について
Ⅳ おわりに

◆7 ドイツ刑法における契約の「締結詐欺」と「履行詐欺」〔渡辺靖明〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツ刑法の詐欺罪の「全体財産」及び「全体財産損害」の概念(概要)
 1 法的経済的財産概念
 2 「差引」による全体財産損害と「主観的損害の考慮」
Ⅲ 「締結詐欺」と「履行詐欺」の類型
 1 「締結詐欺」
 2 「履行詐欺」
Ⅳ 「締結詐欺」と「履行詐欺」をめぐる裁判例
 1 締結詐欺
 2 「履行詐欺」(真正の履行詐欺)の裁判例
 3 「履行詐欺」(不真正の履行詐欺)の裁判例
Ⅴ 不真正の履行詐欺をめぐる裁判例・通説への批判的見解
 1 概 要
 2 若干の考察
Ⅵ むすびにかえて

◆8 1項犯罪と2項犯罪の区別について―財物と財産上の利益の再検討を通して〔佐藤結美〕

Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 「財物」と「財産上の利益」に関する従来の議論について
 1 財物における財産的価値について
 2 財産上の利益における財産的価値について
Ⅲ 具体的な事案に関する検討
 1 2項犯罪の成立範囲について
 2 1項犯罪と2項犯罪の交錯について
Ⅳ おわりに

◆9 刑法における債権ないし経済的利益の保護〔二本栁誠〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 刑法における債権の保護
 1 立法―単なる債務不履行は不可罰
 2 債権にまつわる法律行為及び事実行為並びに価値減少
 3 判例―債権を客体とする2項犯罪
Ⅲ 刑法における経済的利益の保護―財産概念からのアプローチ
 1 財産概念に関する学説
 2 財産概念に関する判例
 3 若干の検討

◆10 刑法における情報・秘密・無体財産の保護〔荒木泰貴〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 情報を得る目的による財物に対する移転罪の成否
 1 情報の非移転性による限定
 2 記録媒体(有体物)とは独立した情報の移転の必要性
 3 記録媒体の一時的な持ち出しと不法領得の意思
 4 小 括
Ⅲ 情報を得る目的による財産上の利益に対する罪(2項犯罪)の成否
 1 情報の非移転性ないし素材同一性による限定
 2 情報の内容・性格に応じた検討の必要性
Ⅳ 非移転罪である横領罪の成否―領得概念の整理の必要性
Ⅴ おわりに

◆11 電子決済に関する詐欺罪の行為態様について―QRコード詐欺の擬律を中心に〔瀧本京太朗〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ QRコードを用いた詐欺の態様について
 1 問題の所在
 2 検討の流れ
Ⅲ 不正指令電磁的記録作成罪の成否
 1 電磁的記録の対象
 2 「虚偽の情報」および「不正な指令」
 3 小 括
 4 QRコードの「電磁的記録」該当性
Ⅳ おわりに

◆12 詐欺罪における正犯と共犯〔小島秀夫〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 語用論に基づく詐欺罪の犯罪構造
 1 コミュニケーション行為としての実行行為
 2 心理的因果性の因果的説明と志向的説明
Ⅲ 準備段階での関与行為
Ⅳ 承継的共犯
 1 実行行為終了後から既遂までの関与
 2 既遂後から終了までの関与
Ⅴ おわりに

◆13 特殊詐欺と共同正犯をめぐる近年の議論について―いわゆる包括的共謀を素材として〔照沼亮介〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 特殊詐欺事案における「包括的共謀」が問題とされた事例
Ⅲ 裁判例の用語法が有する理論的意義の確認
 1 「射程内」であるか否かの問題として検討されていること
 2 特殊な「犯罪集団」「グループ」によるものか否かとは関係がないこと
 3 狭義の共犯との間で理論
 3 今後の学説に対する態度
Ⅴ おわりに

◆14 準詐欺罪規定の解釈をめぐる議論:学説の系譜〔冨川雅満〕

Ⅰ はじめに
Ⅱ 旧法下の議論
 1 罪質について
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