新版 雑種地の評価 裁決事例・裁判例から読み取る雑種地評価の留意点

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本書は雑種地評価の実際を具体的かつ体系的にまとめた唯一の書になります。 初版当時から現時点に至るまで、雑種地の定義や概念には何ら変更はありませんが、雑種地という地目自体が抽象的でつかみにくく、いまだに評価が難しいことは事実です。
雑種地という概念が不動産鑑定評価基準には一切登場してこないことから、多岐にわたる利用形態を的確にとらえ、それぞれの価格水準を明確に把握することは考えた以上に難しく、不動産鑑定士にとっても悩みの種になると思われます。
本書では、初版に引続き財産評価基本通達や固定資産評価基準で雑種地の評価が問題とされるケースを中心に取り上げ、改正された土地利用に関する法令の該当箇所を新しいものに置き換えるほか、新たな国税不服審判所裁決事例を追加してあります。
目次
第1章 雑種地とは
1.雑種地の地目分類
(1)不動産登記法上の分類
(2)財産評価基本通達における分類
(3)固定資産評価基準による分類
(4)地目分類対比表と写真による具体例
2.雑種地と他の地目の相違点
第2章 写真で見る雑種地の形態
(1)雑種地のイメージ
(2)比較的判別しやすいケース
(3)雑種地か他の地目かの判別に迷うケース
第3章 雑種地評価の難しさ
1.雑種地評価の難しさ
2.地目および評価単位のとらえ方
(1)土地の評価上の区分
(2)評価単位
(3)不動産登記事務取扱手続準則の定め
3.雑種地の評価方法
(1)財産評価基本通達
(2)固定資産評価基準
(3)実務上適用されている方法
(4)納税者から不服の生ずる原因
第4章 相続税財産評価と雑種地―その考え方とその方式
1.市街化区域の場合
2.市街化調整区域の場合
(1)近傍地比準法式
(2)開発規制および建築規制の考慮
(3)市街化調整区域における諸制限に関する役所調査
(4)開発制限や建築制限を受けることによる減価率(しんしゃく割合)とその査定根拠
3.路線価地域と倍率地域における雑種地評価の相違
(1)相続税評価額を算定する方法―路線価方式と倍率方式
(2)倍率地域における雑種評価の考え方
第5章 固定資産税評価と雑種地―考え方とその方式
1.評価方式とその考え方―近傍地比準法方式を中心として
(1)市街化区域
(2)市街化調整区域
2.雑種地の価格水準と比準割合
(1)一般的なとらえ方
(2)自治体の比準割合の適用例
(3)雑種地評価をめぐる問題点
(4)市街化調整区域における比準元土地の地目
(5)雑種地評価のポイント
3.自治体の固定資産税評価要領―雑種地評価の例
第6章 雑種地評価で念頭に置くべき法規制
1.都市計画法
(1)都市計画区域と準都市計画区域
(2)市街化区域と市街化調整区域、非線引都市計画区域の関係
(3)都市計画区域および準都市計画区域以外の区域
2.建築基準法
3.農地法
(1)農地とは
(2)農地の転用の制限―いわゆる第4条許可
(3)農地の転用のための権利移動の制限―いわゆる第5条許可
(4)農地転用許可基準
4.自然公園法
(1)特別地域内における建築行為等の制限
(2)特別保護地区内における建築行為等の制限
(3)海域公園地区内における建築行為等の制限
(4)普通地域内における建築行為等の制限
(5)都道府県立自然公園の区域内における建築行為等の制限
(6)特別地域における建ぺい率および容積率の制限
5.その他の法令
(1)地すべり等防止法
(2)急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律
(3)土砂災害防止法
(4)河川法
第7章 鑑定評価における価格概念と雑種地評価の相違
1.価格概念の相違―財産評価基本通達・固定資産評価基準と鑑定評価
(1)不動産鑑定評価基準における「地域の種別」
(2)不動産鑑定評価基準における「土地の種別」
2.雑種地の鑑定評価上の種別
第8章 裁決事例から読み取る雑種地評価の留意点
1.市街化調整区域における建築制限と雑種地の評価
―雑種地の価額を宅地比準法方式により評価したのは相当であるとされた事例(国税不服審判所平成12年12月21日裁決・裁決事例集No.60)
2.市街化調整区域内かつ倍率地域内にある雑種地の評価
―市街化調整区域にあり、現況地目が雑種地である土地につき、固定資産税評価額に近傍宅地(比準地)の倍率を乗じて算定した相続税評価額が課税庁により否認された事例(国税不服審判所平成16年3月31日裁決・裁決事例集No.67)
3.青空駐車場として貸し付けられていた雑種地の評価
―青空駐車場として貸し付けられていた雑種地の価額の評価上控除すべき賃借権の価額について、当該賃借権が登記されたものではなく、設定の対価として権利金の授受もないことから、その自用地価額に残余期間に応ずる相続税法第23条に規定する地上権割合の2分の1に相当する割合を適用して評価した事例(国税不服審判所平成2年10月19日裁決・裁決事例集No.40)
4.雑種地の評価単位をめぐって
―所有する土地(雑種地)の一部を自ら使用し、他の部分を使用貸借により宅地または雑種地として貸し付けている場合に、地目が相違しても全体を一団の雑種地として評価するのが相当であるとして事例(国税不服審判所平成28年12月20日裁決・裁決事例集
5.市街化調整区域内における比準土地を農地や原野ではなく宅地とすべきだとした事例―市街化調整区域に所在する雑種地の評価に当たり比準土地として選定する土地は、その周囲の状況を十分考慮して個別に判定すべきであるとした上で、本件については宅地とすべきであり、農地や原野とすることはできないとされた事例(国税不服審判所平成30年4月17日裁決)
6.公共用水路に流出するための排水路の敷地の用に供されていた土地の評価について
―急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第2条だい2項に規定する急傾斜地崩壊防止施設からの排水を公共用水路に流出するための排水路の敷地のように供されていた土地の評価について、財産評価基本通達82に定める雑種地の評価方法(状況が類似する財産評価基本通達49に定める市街地山林)により評価するのが相当であるとした事例(国税不服審判所平成30年11月19日裁決・裁決事例集No.113)
第9章 固定資産税の裁判例から読み取る雑種地評価の留意点
1.市街化区域における雑種地で建築困難な土地の評価
―建築制限の厳しい土地に対して適用された宅地比準の評価結果に対して、それがどこまで適正な時価を反映しているか争われた事例(広島高裁平成16年2月13判決・資産評価システム研究所センター資料閲覧室『固定資産税判例解説資料』)
2.固定資産課税台帳に登録された土地(雑種地)の評価方法
―固定資産税課税台帳に登録された土地(雑種地)の価格に関し、その評価法式を誤りとする納税者の主張が認められた事例(東京地裁平成10年3月19日判決・『判例自治』179号22~30頁
3.市街化調整区域内にある雑種地の評価
―市街化調整区域内にある土地について、地目を雑種地とし、近傍地比準方式により、宅地に比準すべき土地としてされた固定資産評価審査会の固定資産評価額について審査申出棄却決定が取り消された事例(神戸地裁平成9年2月24日判決『判例時報』1639号40~45頁)
4.雑種地の登録価格
―固定資産評価基準に定める評価方法によって時価を算定できない特別な事情がないにもかかわらず、これと異なる評価方法により算定した雑種地の価格が登録価格として認められなかった事例(神戸地裁平成18年12月7